研究課題/領域番号 |
25285178
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | お茶の水女子大学 |
研究代表者 |
坂元 章 お茶の水女子大学, 大学院人間文化創成科学研究科, 教授 (00205759)
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研究分担者 |
長谷川 真里 横浜市立大学, 都市社会文化研究科, 教授 (10376973)
向田 久美子 駒沢女子短期大学, 保育科, 准教授 (70310448)
田島 祥 東海大学, チャレンジセンター, 講師 (60589480)
松尾 由美 関東短期大学, こども学科, 講師 (50711628)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | ソーシャルネットワーキングサービス / 国際交流 / WEB調査 / 偏見低減 / SNS |
研究概要 |
SNS(social networking service)は自動翻訳機能を備え世界各地の登録者と直接交流が可能である。さらに、SNSでは自分の友達が誰とやり取りし、友達なのかを把握できる。そのため、SNS上で自分と同じ内集団成員が外集団成員と接触する場面を目撃したり(代理接触)や、両者が友人関係にあることを知る(拡大接触)といった間接接触を経験する機会も多い。このような特徴により国際交流の場としてのSNSの有効性が期待される一方で、SNS利用の文化差が誤解を生み、国際交流への活用効果を損なう可能性がある。本研究の目的である偏見低減に有効なSNS上での国際交流プログラムを開発するためには、文化差などに起因するSNS上での国際交流時の一般的なトラブルを想定し、対策を考える必要があるだろう。また、SNS上でどのような外国人利用者との接触が偏見低減に有効であるかを検討する必要がある。 そこで本年度はSNS上での外国人利用者との接触時に起こるトラブルを把握し、WEB調査を実施した。なお本年度の調査は縦断調査の1波目であり、次年度に2・3波目の調査を実施することで、接触が偏見低減に及ぼす因果関係を検討する予定である。 日本国籍保有者でSNS上で外国人利用者との間にトラブルを経験した対象者に、トラブルの内容を詳述するよう求めた。その結果、機械翻訳の誤訳や習得が不十分な言語でのやり取りによる誤解や理解不足などの言葉の壁による齟齬や、親しくない相手や見知らぬ相手からの友達申請に関するトラブルなど、外国人利用者とSNS上で接触する際に起こりうる問題について回答が見られた。さらに、外国人利用者に限らず顔の見えないSNS上でのコミュニケーションゆえに起こりうるトラブル(例;性的接触・ストーカーなど)や、文化的背景の異なる外国人とのコミュニケーションに由来するトラブル(例:宗教や文化の違い)なども回答が見られた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の最終目標は、偏見低減に有効なSNS上での国際交流プログラムを開発することである。この目標を達成するために、①SNS利用の文化差などに起因するSNS上での国際交流時の一般的なトラブルを想定し、対策を講じること、②どのようなSNS上での外国人利用者との接触が偏見低減に有効であるか検討することが必要である。そこで、3年計画の1~2年目に上記の2点を検討する調査を実施し、その研究知見に基づき国際交流プログラムを開発し、3年目に開発したプログラムの偏見低減効果を確認する研究計画を立案した。本年度は、①SNS上での国際交流時のトラブルを明らかにし、②偏見低減に有効なSNS上での外国人利用者との接触内容を明らかにするための縦断調査の1波目を実施した。その結果、様々なSNS上での外国人利用者とのトラブルが抽出され、国際交流プログラムの開発時に留意すべき点を確認できた。また、次年度に2・3波目を実施することで、SNS上での接触内容が外国人に対する偏見に及ぼす影響について因果関係を特定できる。したがって、本年度の進捗状況は、当初の計画通りにおおむね順調に進展していると考えた。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究の推進方策として、(1)縦断調査により、偏見低減に有効なSNS上での外国人利用者との接触内容を明らかにしたうえで、(2)偏見低減に有効なSNS上での国際交流プログラムを開発し、(3)開発した国際交流プログラムの偏見低減効果を実験により確認する。 (1)の縦断調査はすでに1波目を本年度実施しており、3年計画の2年目に、2波目、3波目を実施する予定である。縦断調査での研究知見、本年度に実施した調査で抽出されたSNS上での外国人利用者とのトラブルに関する研究知見に基づき、(2)の国際交流プログラムを開発する。最終年度には、SNS上で日本人参加者と外国人参加者を接触させ、開発した国際交流プログラムの偏見低減効果を検討する。
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次年度の研究費の使用計画 |
海外の研究で使われた調査項目を使用することにしたことで、翻訳や海外に在住する著者への確認に時間がかかったため、調査開始時期が当初の予定よりも遅れてしまった。 今年度、海外共同研究者との打ち合わせやパソコン購入を予定していたが、調査実施が遅れたこともあり、海外共同研究者との打ち合わせは、直接顔を合わせずに、メール等でやりとりを行った。また、当初予定した調査の一部を他予算で充当で来た。これらの理由のため、次年度使用額が生じた。 最終年度(平成27年度)に実施予定の、海外在住の学生に協力を依頼する実験の準備のため、平成26年度は実験実施の準備に必要な費用がかかる予定であり、次年度使用額は、そのために使用する予定である。
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