研究課題/領域番号 |
25285185
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 名古屋市立大学 |
研究代表者 |
中川 敦子 名古屋市立大学, 人文社会系研究科, 教授 (90188889)
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研究分担者 |
鋤柄 増根 名古屋市立大学, 人文社会系研究科, 教授 (80148155)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 気質 / 注意 / あやし方 / 遊び / 協調運動 |
研究概要 |
発達初期から見られる、よく笑う/笑わない、寝つきがいい/悪い などの行動の個人差は気質(temperament) と呼ばれ、生得的、生物学的背景を持つものとして研究が発展してきた。近年の神経科学の枠組みでは 気質を不変で永続的なものとみるのではなく、環境からの働きかけによってある程度変化するものと考える。申請者らは保護者回答形式の質問紙を用い、月齢4ヶ月から同じサンプル(189名:男児96名、女児93名)を追跡調査してきた。調査では、Rothbart & Posnerの気質モデルに拠って、日常生活場面での乳児の具体的な行動を示し、それが自分の子どもにどのくらいの頻度みられたかを尋ねることで気質を調べた。さらに、ぐずった時どのようなあやし方をするかと、Rough-and-Tumble Play(RTP: 追いかけっこや、くすぐりあいのような笑い声やスキンシップを伴う活動性の高い身体遊び)をする頻度を調べ、これらと乳幼児の気質発達の関連を検討した。ぐずっている時に目新しいものを呈示する方略は、乳児が不快な刺激から注意を逸らすことを学ぶことにつながり、ひいては自分を制御する能力の発達を促すと考えられている(Rothbart et al., 2012)。また、RTPは、自分を制御する能力を司る、前頭葉の発達に影響を及ぼす情動活動である(Panksepp, 1998)。 分析の結果、RTPは、 乳児期に外向性・高潮性(Surgency)が高いほど多く行われ、その頻度が高いほど月齢24ヶ月の外向性・高潮性が高かった。一方、乳児期に新しいものを視覚呈示するあやし方をしているほど、月齢24ヶ月の負の情動が高く、仮説は支持されなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新たな眼球運動装置を現有のシステムに組みこみ、データ取得を可能にするまで予想以上に時間がかかった。さらに軌道に乗り始めたら、現有のアナログの画像合成機(MF-310) が不具合をおこし、12年前に購入のために修理不可能で、代替機を検討中である。 エコチル追加調査については、保護者に与える負担感の少ない質問紙の再検討などから、配布開始が予定よりも4ヶ月ほど遅れた。
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今後の研究の推進方策 |
・エコチル追加調査に関しては、これまで同様、全体調査に支障がでないよう配慮しながら、月齢6ヶ月対象の調査紙の配布・回収を続けていく。また、当初の月齢18ヶ月での計画を変更して、月齢24ヶ月で2回目の追加調査を行うことにしたので、そのための準備に入る。 ・眼球運動計測に関しては、代替機を購入後、作成中のHPも活用して実験協力者を募り、データ取得に努めていく。
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次年度の研究費の使用計画 |
25年度のエコチル追加調査の実施が半年ほど遅れる形になったので、その配布・回収郵送費、謝金とその郵送費、これらの処理にかかる人件費、さらにデータ入力費など未使用となった。 また眼球運動計測の協力者募集のためのHPの立ち上げも作業中であるが、その費用は25年度に計上した。大学のHPとの関連で手こずっている。 エコチル追加調査はこのまま継続し、HPもなるべく早い公開に向けて、現在のトラブル解消に努めてもらう。
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