研究課題
「子どもの健康と環境に関する全国調査(エコチル調査)」(環境省)において、追加調査を実施し,生得的な哺乳能力が脳の発達の問題を早期に予見することになるか否かを検討した。研究協力者は1892名の乳児(女914, 男955, 不明23)であり,月齢1か月に「哺乳障害」に関する調査,月齢6か月に協調運動(Coordinated movement)ならびに気質(Temperament)に関する調査を行った。運動に関する項目について主成分分析(バリマックス回転)を行った結果,“姿勢保持のための反射”,“社会的相互作用に関わる運動”,“探索に関わる自発的な運動”の3つの成分が抽出された。これらと気質の関係を調べた結果,発達初期には高潮性(Surgemcy)が運動を促すことが示唆された。今回,月齢1か月に哺乳行動が良好でないことが,必ずしも月齢6か月での協調運動の稚拙さに繋がらなかった。生後6か月の時点では一般の児であってもできることに限りがあるため、不器用さの個人差が明確にならなかった。今後も本研究を継続していくことで、年齢とともに差が明確になる協調運動の問題と哺乳行動や気質との関連性を明らかにしてくことが必要だと思われた。また,月齢36ヶ月の児193名を対象に,Little Developmental Coordination Disorder質問紙,感覚プロフィール, 小児用気質質問紙(CBQ)の日本版を施行し,不器用さや感覚の問題と気質の関係を検討した。パス解析の結果,Rothbartらの気質理論に一致して,エフォートフル・コントロール(effortful control)という気質の次元が,情動の制御だけでなく,運動や知覚の制御に関わることが示唆された。
3: やや遅れている
・研究の一部である眼球運動計測に関しては,新たな装置を現有システムに組み込むのに手間取り,26年度の初めから注意課題を用いて,乳児を対象にデータ取得できる状態になった。そのため,眼球運動に関しては,解析プログラムができあがったのち,分析の最中である。・エコチル追加調査に関しては,環境省の全体調査に合わせた形で進める必要があり,計画の2ヶ月遅れで24M追加調査にはいったところである。
眼球運動計測を継続していき,縦断的にデータを取得する。エコチル24M追加調査は,エコチル全体調査に影響を与えないよう配慮しながら続けていく
エコチル追加調査を,当初の月齢18ヶ月での計画から月齢24ヶ月での実施に計画変更したこと,全体調査の実施状況に合わせる必要があったことから,必要な経費が次年度にずれた。
当初の目的どおり,エコチル追加調査のための研究費として用いる
すべて 2015 2014
すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 3件) 学会発表 (3件) 図書 (1件)
小児歯科臨床
巻: 20 ページ: 24-29
Sage Open
巻: 印刷中 ページ: 印刷中
Child Development Resetch
巻: 2014 ページ: 1-10
http://dx.doi.org/10.1155/2014/741373
Journal of Developmental & Physical Disabilities
巻: 26 ページ: 403-413
10.1007/s10882-014-9377-1