研究課題
本研究は、わが国の臨床心理士に対して認知行動療法と科学的でエビデンス・ベーストな臨床心理学を普及させるために、欧米でさかんになっている認知行動療法について、不安障害・うつ病・統合失調症・ストレス疾患など、疾患別に特化した認知行動療法を開発し、ワークショップに取り入れることが目的である。本年度の研究実績について、まず、認知行動療法の効果研究について述べる。心理療法の効果について、これまで共通要因の方が個々の技法よりも大きいというLambertの通説があったが、この見解には科学的な根拠が乏しいこと指摘した。そのうえで、うつ病に対する認知療法のメタ分析(丹野ら、2011)の結果からみると、個々の技法(認知療法)のほうが共通要因よりも効果が大きいことを明らかにした。これはこれまでの通説に対して、科学的根拠をあげて反証したことになり、心理療法の効果研究に大きなインパクトを与えた。本年度の研究実績について、疾患別に述べると、まず、うつ病に関しては、注意バイアス変容法を用いた抑うつ軽減法について基礎研究をおこなった。次に、不安障害については、カナダのマギル大学のローレンス・カーマイヤーとコンコーディア大学のアンドリュー・ライダーを招き、国際心理学会議で対人不安についてのシンポジウムをおこなった。さらに、海外で実際におこなわれている認知行動療法について調べるために、研究代表者は、世界行動療法・認知療法会議および欧州認知行動療法学会において英語圏の認知行動療法家がおこなうワークショップに参加して、認知行動療法の技法に習熟し、最新の情報を収集した。また、日本認知療法・認知行動療法学会、日本認知・行動療法学会、日本心理学会、日本心理臨床学会、日本不安症学会などの学術大会において、認知行動療法と普及についてのシンポジウムやワークショップを多数開催した。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2016
すべて 雑誌論文 (5件) (うち国際共著 2件、 査読あり 4件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 3件、 招待講演 1件)
精神療法
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