研究課題/領域番号 |
25285191
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
窪田 由紀 名古屋大学, 教育学研究科(研究院), 教授 (00258576)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 心理学的介入 / 学校危機 / 事後対応プログラム / 予防教育プログラム / 支援者養成プログラム |
研究実績の概要 |
平成27年度は,実施済みの調査の分析による危機時の教師及び支援に入った臨床心理士の体験の明確化と支援プログラムの評価,予防プログラムの効果検証,支援者養成プログラムの開発・効果検証を行った。成果については,日本心理臨床学会,日本教育心理学会,日本学校心理学会,日本自殺予防学会,日本学校メンタルヘルス学会等で発表すると共に,普及に向けてのツール開発等を行った。 1 事後対応プログラム分析・評価:引き続き支援を受けた教師インタビュー,及び支援に入った臨床心理士インタビューの複線径路等至性アプローチを用いた分析例を蓄積した。臨床心理士アンケートの結果から,臨床心理士による緊急支援の実態把握と課題の分析を行った。これらの結果について計14件の学会発表を行った。11月から1月にかけて学校危機への遭遇と臨床心理士チームの支援が教師に及ぼす影響を明らかにするための質問紙調査を実施した。 2 予防プログラム開発・試行実施・効果検証:前年までに開発した①~③のプログラム試行実施と効果検証,普及のためのツールの作成等を行い,計20件の学会発表を行った。―①心の減災教育グラム:前年度に続き,中高生プログラム,成人プログラムの試行実施のデータの収集・効果検証を行い,普及のための教材集の作成を行った。②自殺予防教育:A市全体への導入・実施の効果について市全体の種々の指標との関連で検討した。③開発実施ずみの一般型心理教育の継続的実施が教師に及ぼす影響及び導入・実施におけるSCの役割の分析等を行った。 3 支援者養成プログラム開発:2の自殺予防教育に関して導入に向けての教職員研修及びスクールカウンセラー(SC)研修のプログラム開発・効果検証等を行い,書籍を出版した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
前年度に引き続き,本研究の実施母体となっている複数の研究会活動は活発に継続しており,その成果は多くの学会発表と論文,書籍として発表している。今年度は,教育行政の担当者への聞き取り調査を行い,その結果も含めた形で,A市小中学校全教職員を対象とした質問紙調査を実施することができた。結果の分析は28年度になるが,既に着手しており,早急にまとめることが可能である。当初27年度中に予定していた結果に基づく教師研修資料の作成も急ぎ行うことができる。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度に当たるため,1~3の各領域で,主としてこれまでの成果をまとめ,「包括的学校危機準備対応モデル」として統合し,実施体制も含めて提案できるようにする。 1 事後対応プログラム:これまで実施・分析済みの教師調査(質問紙1,2,インタビュー),及び臨床心理士調査(インタビューと質問紙)の結果を基に,事後対応プログラムを精緻化し,実施の手引きを改訂するとともに,教育行政との協議の中から実施体制もモデル化する。 2 予防・準備プログラム:既に開発,効果検証を行い,一部普及のためのツールを開発している各種予防・準備プログラムをパッケージ化し,1の事後対応プログラムとも統合して有機的なつながりを明確にする。 3 支援者養成プログラム:これまでの成果を踏まえて,支援者養成プログラムについてもパッケージ化して,1,2と共にモデルとして一体的に提示できるようにする。 4 これらの普及に向けての講演会等を開催し広く社会に還元する。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初,教師アンケートのデータ整理・入力業務が28年度にずれこんだため,その結果に基づいて27年度中に作成予定であった教師研修資料の作成ができなかった。そのため,印刷費や送料が不要となった。
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次年度使用額の使用計画 |
すでに教師アンケートの分析には着手しており,早急にその結果に基づく教師研修資料の作成を行い,印刷及び送付を行う予定である。
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