〇実施済みの2度の教師調査(2011年、2015年)について、傾向スコアマッチング分析を実施し、臨床心理士チームの支援効果を検討した。2011年調査では支援による効果的なコーピングの実施や1ヶ月後のよりよい回復が示された。2015年調査については、支援の活用度による危機対処効力感や危機後成長、解決への貢献感の違いが示された。また、2度の調査の臨床心理士の支援に関する自由記述項目を再度収集・分析し、教師の認識を検討した。迅速かつ的確であり、安心感を持てる支援が肯定的評価につながっていることが見られた。一方で不適切な支援に対する否定的評価も見られたことから、効果的な支援へのさらなる検討点が明らかになった。 〇危機対応に関する支援者養成プログラムの効果検証を行い、参加者アンケート自由記述部分の分析から、事例に即したより参加型のプログラムへの評価が高いことが確認された。 〇これらの結果について、日本心理臨床学会、日本教育心理学会、国際学校心理学会で発表した。また、予防から事後対応にいたる一連の学校危機への包括的アプローチについて、研究結果も含む展望や研究結果を踏まえた事後対応時のアセスメントについて論文化した。さらに、2005年に出版した「学校コミュニティへの緊急支援の手引き」を数年来の研究成果を反映させて大幅に改訂し「学校コミュニティへの緊急支援の手引き」の第二版として出版した。ホームページ「学校コミュニティ危機への心の支援」については、研修会等で広く紹介するとともに、随時資料の追加を行った。
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