研究課題/領域番号 |
25285194
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研究機関 | 名古屋市立大学 |
研究代表者 |
明智 龍男 名古屋市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (80281682)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 再発不安 / ICT / がんサバイバー / 問題解決療法 |
研究実績の概要 |
我々はがん患者の精神症状緩和に資する構造化された問題解決療法(PST)プログラムを開発し、実地臨床で実施することに加え、予備的なパイロット研究でその有用性を示唆してきた。本年度は、そのプログラム内容を基盤としたiPhone等の携帯端末を媒体とした9セッション(最短2週間)で終了できる問題解決療法『解決アプリ』をLife2Bits株式会社(http://www.life2bits.com/)に委託し、共同開発した。共同開発のプロセスでは、認知行動療法の専門家の助言も得ながらシナリオを完成させた。『解決アプリ』は一般的な問題解決技法の5つのステップ(Step 1:問題を整理し明らかにする、Step 2: 目標を具体的にする、Step 3: 解決方法を考える、Step 4:よりよい解決方法を選ぶ、Step 5: 解決方法を実行し、結果を評価する)から構成される。別の研究で開発したスマートフォンを用いた認知行動療法と同様に、登場人物によるダイアログ形式で進む。セッションは参加者が自学自習し、これに要する時間はおおよそ週に30分であるが、週1度事務局の支援者からメールや電話による治療継続の励ましなどの支援を行う。またセッションを終了すると、「問題解決のコツ集」、「ニーバーの祈り」などの箴言集をみることができるようになっており、セッションをすすめる上での動機付けとなるよう工夫されている。なお当初は、我々の臨床経験からも簡便で有用性が示されている行動活性化の要素も含んだプログラムとする予定であったが資金不足のため問題解決療法のみのプログラムとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
予定していたアプリに関しては予想以上に費用がかかったため、行動活性化プログラムを含めることができなかったが、その他は概ね順調に進捗している。
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今後の研究の推進方策 |
我々は、がん患者の精神症状緩和に資する構造化された問題解決療法(PST)プログラムを開発し、実地臨床で実施することに加え、予備的なパイロット研究でその有用性を示唆してきた。平成27年度は、そのプログラム内容を基盤としたiPhone等の携帯端末を媒体とした9セッション(最短2週間)で終了できる問題解決療法『解決アプリ』をLife2Bits株式会社(http://www.life2bits.com/)に委託し、共同開発した。『解決アプリ』は一般的な問題解決技法の5つのステップ(Step 1:問題を整理し明らかにする、Step 2: 目標を具体的にする、Step 3: 解決方法を考える、Step 4:よりよい解決方法を選ぶ、Step 5: 解決方法を実行し、結果を評価する)から構成される。別の研究で開発したスマートフォンを用いた認知行動療法と同様に、登場人物によるダイアログ形式で進む。セッションは参加者が自学自習し、これに要する時間はおおよそ週に30分であるが、週1度事務局の支援者からメールや電話による治療継続の励ましなどの支援を行う。なお当初は、我々の臨床経験からも簡便で有用性が示されている行動活性化の要素も含んだプログラムとする予定であったが資金不足のため問題解決療法のみのプログラムとなった。 28年度は、乳がん術後、無再発で経過している若年女性患者に対する再発不安に対してスマートフォンを用いた問題解決療法の効果を予備的に検証するための臨床試験を実施する。本予備検討は、比較群をもたない一群のOPEN試験とし、目標参加者数は、30名とする。ただし、脱落者が2割程度で8名と想定し、同意を取得する目標参加者数は計38名とする。本研究の主要評価項目は、これまでに開発してきたConcerns About Recurrence Scale (CARS)とする。なお、試験実施に先立ち、研究計画を名古屋市立大学大学院医学研究科倫理委員会に提出し承認を得ることとする。
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次年度使用額が生じた理由 |
調査に必要な貸出用のiPhoneを増やす予定であり、それに伴い通信料も必要となる。また、開発したアプリに不具合が出た場合の保守料を確保するため。
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次年度使用額の使用計画 |
貸出用のiPhoneを2台追加購入し、その通信料に使用する。また、開発したアプリに不具合が出た場合の保守料に充てる。
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