研究課題/領域番号 |
25285196
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
川野 健治 立命館大学, 総合心理学部, 教授 (20288046)
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研究分担者 |
川島 大輔 中京大学, 心理学部, 准教授 (50455416)
白神 敬介 上越教育大学, 大学院学校教育研究科, 准教授 (20598635)
川本 静香 立命館大学, 立命館グローバル・イノベーション研究機構, 研究員 (90769853)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 自殺 / 文化 / 態度 / 潜在連合テスト / 自殺予防教育 |
研究実績の概要 |
日本の社会・文化的特徴を含む自殺の許容性の内容と構造を明らかにするために、複数の研究を進めた。 1.一般サンプル調査:日米の自死遺族(米国330、日本51)を対象に昨年度実施した調査を元に、今回は日本の一般サンプルを対象とした調査を実施した。インターネット調査会社に登録する20代~70代の1800名を対象に、自殺の美化項目を含む態度尺度、自殺念慮、K6、死への態度尺度、また属性変数を尋ねた。分析の結果、意識でレベルでの自殺の許容性がうつなどの心理変数と相関することなどを確認した(2017年度7月の国際自殺予防学会で報告した)。引き続き別の視点からも分析し発信していく。2.潜在連合テスト:1.を受けて、無意識レベルでの許容性を検討する手がかりを得たことから、これをもとに潜在連合テストを実施した。顕在的な許容性と潜在的な許容性との間にずれがあることが確認された。現在、論文を投稿中である。3.SOSS尺度の作成:SOSS尺度日本語版案を作成し、妥当性検討のためのデータ収集を行った(2017年度7月に国際自殺予防学会で報告し、現在は投稿準備中である。)4.自殺の許容性の文化心理学アプローチ:元禄より文化として日本で受け入れられてきた曽根崎心中を題材に、自殺の許容の仕方の変遷である「創意」を検討した。グッドマン(2017)を元に、再現構造分析という分析視点を開発し、多様な自殺の許容形式を見出した。(2017年の質的心理学会で報告した)5.自殺予防教育:これまでの研究成果をもとに著書を執筆している。 これらの研究成果は同時に、潜在連合テストのプログラムや再現構造分析の手法の整備へとつながった。また国内外の研究連携が進み、現在あらたに日本、韓国、米国のデータの国際比較研究を展開している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究実施年度に計画していた研究はほとんど結果が得られ、想定していたグループインタビューデータに替わって、文化心理学的アプローチの成果によって補うことができた。ただし、成果の公表についての全てを終えることができず、2018年度に延長し、正課発表を行っていくことになった。
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今後の研究の推進方策 |
目的としていた研究はほぼ実施できたことから、2018年度以降は引き続き本研究の成果を多様な媒体を通して発信していく。それに加えて、本研究で得られた研究ネットワーク(国内外の協力関係)、潜在連合テストのプログラム、再現構造分析の手法、また自殺予防教育プログラムを用いた研究も、それぞれで展開していきたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究成果は得られたが、方法の変更にともない全体に発信が遅れた。次年度は研究成果の発信に務めるために、延長して取り組む。
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