ヒトは多くの対象に恐怖を感じるが、ある対象は進化の過程で獲得された結果、生得的に恐怖を引き起こすと考えられている。たとえば、高所やヘビがその代表とされる。従来の理論では、ヘビとクモが進化的に脅威を与える対象であるとされていたが、より近年の理論はヒトや霊長類の大脳はヘビを検出するために視覚システムを大きくしたと仮定する。そのことを実験室で育ち、ヘビを見たことがないサルと、ヒトを対象とした行動および脳波の実験で検証した。どの実験でも、ヒトやサルはヘビに強く注意を向けることが示されたがクモには注意を惹き付けられないことが明らかとなり、ヘビだけがヒトや霊長類の生得的な脅威の対象であることを証明した。
|