研究課題/領域番号 |
25285200
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
川口 潤 名古屋大学, 環境学研究科, 教授 (70152931)
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研究分担者 |
北神 慎司 名古屋大学, 環境学研究科, 准教授 (00359879)
渡辺 はま 東京大学, 教育学研究科(研究院), 准教授 (00512120)
齊藤 智 京都大学, 教育学研究科(研究院), 准教授 (70253242)
鈴木 敦命 名古屋大学, 環境学研究科, 准教授 (80547498)
梅田 聡 慶應義塾大学, 文学部, 教授 (90317272)
小林 正法 名古屋大学, 環境学研究科, 学振特別研究員(PD) (60723773)
服部 陽介 京都学園大学, 人文学部, 嘱託講師 (40733267)
山田 陽平 奈良教育大学, 教育学部, 講師 (50708518)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 記憶 / 抑制 / ワーキングメモリ / 乳児 / 社会的認知 / 認知的コントロール |
研究実績の概要 |
記憶抑制研究については,自伝的記憶の意図的抑制に関して,M.Anderson(MRC:CBU,Cambridge)と共同研究を進め,意図的抑制時に右前頭前野と海馬および扁桃体を含む前頭頭頂ネットワークが関与していることを見いだし国際学会で発表した。 展望記憶課題において見られる検索誘導性忘却を国際誌に掲載した。また、展望記憶課題おける反応抑制の役割を検討するために、Go/No-go taskで検討し,当該の手がかりが焦点的手がかりであった場合にのみ、展望記憶想起に影響を与えることが示された。 前頭極の機能的解明を目的として,未来思考や展望記憶をはじめとする,前頭葉活動に関する統合的な実験的検討を行った。前頭極が関わる認知処理をいくつかの要素に分けることができ,それぞれが他の脳部位とどのような連関を担っているかについてデータ解析を行った。 社会的情報のコントロールについて,人間はある人の悪い評判を耳にするとその評判が後で嘘だとわかってもその人に不信感を抱き続ける傾向があるが,こうした認知的コントロールによる抑制が困難な不信感が,腹外側前頭前皮質の活動と関係していることをfMRIを用いた実験で明らかした。 発達心理学的アプローチでは,生後2-3ヶ月児における乳児の運動特性の変化に関してH26年度に計測したデータの解析をおこない学会にて報告した。家庭や保育施設等で乳児の運動を長時間モニターできるスーツの開発をおこなった。このことから閉じられた実験室時空間だけではなく、日常生活での予測行動を捉えることが期待される。乳児の運動・脳機能発達を包括的に検討し,書籍の一章として執筆した。 認知コントロールと抑うつについて,主たる目標の追求時に抑制されるはずの代替目標へのアクセスが抑うつ気分によって促進される可能性について検討を行い,その成果を日本心理学会において報告した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
記憶の抑制,ワーキングメモリと制御,制御と脳内基盤・身体との関連,発達,社会的情報の制御というテーマで研究を進めている。tDCSを用いた研究に倫理審査に時間を要しているためやや遅れがあるが,おおむね順調に進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
記憶抑制については,海外の研究者との共同研究について国際学会(Cognitive Neuroscience, New York)で発表予定である。tDCSを用いた研究実施手続きに時間を要したため1年延長を行ったが,その実験を実施予定である。数回の会議を行ったが,本年は最終年度のとりまとめを進めたいと考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
記憶の抑制制御については,英国MRC:Cognition and Brain Science Unitで実施しているものがあるが,そこでの実験機材費用は必要がなくなった。tDCS実験を実施するための費用として,持ち越しとした.
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次年度使用額の使用計画 |
次年度実施予定のtDCS関連実験費用および参加者謝金として使用する予定である.
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