研究分担者 |
北神 慎司 名古屋大学, 環境学研究科, 准教授 (00359879)
渡辺 はま 東京大学, 教育学研究科(研究院), 准教授 (00512120)
齊藤 智 京都大学, 教育学研究科(研究院), 教授 (70253242)
鈴木 敦命 名古屋大学, 環境学研究科, 准教授 (80547498)
梅田 聡 慶應義塾大学, 文学部, 教授 (90317272)
小林 正法 関西学院大学, 文学研究科, 研究員 (60723773)
服部 陽介 京都学園大学, 人文学部, その他 (40733267)
山田 陽平 愛知学泉大学, 家政学部, 講師 (50708518)
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研究実績の概要 |
記憶抑制研究については,自伝的記憶の意図的抑制に関して,Anderson, M.(MRC:CBU,Cambridge, UK)らと共同研究を進めており,意図的抑制時の脳内ネットワーク,および精神的健康度との関係を検討している。 意図的抑制の効果を高める手法についての検討も行った。 また,記憶抑制が記憶成績そのものへの影響にとどまらず,対象となる記憶の他の属性に影響することを見いだした。具体的には,Think/ No-Think課題による記憶の意図的抑制によって,対象となる記憶が忘却されるのみならず,その対象の感情価(ポジ・ネガ)が低下することが示された。また,顔の記憶課題を用いて,その後の記憶課題で想起が成功した顔と忘却した顔に関する好みを測定すると,忘却された顔の好みが低下していることも見いだした。これらは,記憶の忘却という現象が,その記憶の認知的属性のみならず,他の属性である感情価の強度を弱めたり,好ましさの程度が低下する可能性が考えられた。 さらに,記憶抑制能力が,日常的な注意制御能力の反映と考えられるメディアマルチタスキング頻度と関連する可能性も示された。これは,実験室内で測定された認知コントロール能力が普段の生活における活動と密接に関わっていることを示唆している。 またこのような記憶抑制能力を簡便に測定する質問紙を作成した。 また,記憶の未来思考に関する研究では,「未来思考」の脳内メカニズムに関する脳波および自律神経の同時測定実験を実施した。思考内容を限定せずに未来方向への思考を示唆するだけで,かなり早期の段階で特有な脳活動があることが示された。そして,その脳活動は自律神経活動を介して,心臓などから求心性の信号によって修飾されていることが示された。
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