本研究は、ヒトとサルを対象として、発達障害の認知特性を解明すると同時に診断法の確立を目的とした。近赤外分光法は主にヒトの脳活動計測に用いられる手法であるが、これをサルに応用することに成功した。これにより、今後はヒトと動物モデルでの直接的な比較が可能となり、発達障害の生物学的背景の解明が進むと期待される。また、発達障害児の毛髪中のストレスホルモン量を測定し、認知特性との関連を調べることにより、発達障害で見られる一部の認知機能障害は慢性的ストレスによる二次的な障害であることを見出した。この発見は、今後の発達障害のより的確な診断に大きく貢献すると期待される。
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