研究課題/領域番号 |
25285210
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
西岡 加名恵 京都大学, 教育学研究科(研究院), 准教授 (20322266)
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研究分担者 |
石井 英真 京都大学, 教育学研究科(研究院), 准教授 (10452327)
中池 竜一 京都大学, 教育学研究科, 助教 (00378499)
鋒山 泰弘 追手門学院大学, 公私立大学の部局等, 教授 (30209217)
八田 幸恵 大阪教育大学, 教育学部, 准教授 (60513299)
赤沢 真世 立命館大学, スポーツ健康科学部, 准教授 (60508430)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 教育評価 / 教師教育 / パフォーマンス評価 / パフォーマンス課題 / ルーブリック / ポートフォリオ / カリキュラム開発 / 教員研修 |
研究概要 |
(1)京都大学の教職課程では、「教職に求められる教養」「生徒理解と人間関係構築力」「教科内容に関する知識・技能」「教科等の授業づくりの力量」「課題探究力」の5つの柱で力量形成を図る教職課程ポートフォリオを開発・活用している。本年度は、京都大学の教職課程ポートフォリオの取り組みを紹介する書籍を刊行し、ウェブページ上でも情報を公開するとともに、現職教育に使える教職ポートフォリオの基本デザインについて考案した。その概要をE.FORUM実践交流会(2014年3月29日)にて紹介し、現職教育に携わる参加者の方々に、現職教育におけるポートフォリオの活用可能性について検討していただいた。 (2)学校との共同研究開発を通して、教師の力量向上プロセスを分析した。特に、パフォーマンス評価を教育実践の改善に活かすための教員研修プログラムの開発等について、共同研究を行った。その成果を生かして、学力評価とカリキュラム改善についての教員研修にも活用できるコンテンツを、京都大学のオープン・コースウェアで公開した。さらに、高等学校における探究的な学習の指導と評価や、汎用的スキルの育成についても、新たな学校現場と共同研究を開始した。 (3)英米や日本における先進事例についての文献調査等を行うことにより、教師の専門職性について研究し、学会発表を行うとともに論文を執筆した。特に、技術的熟達者と省察的実践家という二項対立図式を超えて「学問する」教師像を提案したことは、学会や他大学からも高い評価が得られた。 (4)平成26年度以降の本格的なデータ蓄積・分析に向けて、データベース「E.FORUM Online(EFO)」を改善した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初は平成28年度以降に検討する予定であった教科外教育の実践力についても、既に一部検討を始めており、その成果の一端を論文にまとめるに至っている。また、当初の計画にはなかったウェブページ上での情報提供にも取り組んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
当初の計画通り、平成26・27年度は教科教育、平成28・29年度は教科外教育の実践力を中心に研究していく予定である。ただし、共同研究を行っている学校のニーズに対応することを優先するため、それぞれの年度において、予定している内容以外が研究対象となることも想定される。引き続き、下記の4つに取り組むことによって、研究課題について多角的に研究する。 (1)学校との共同研究開発を通して、教師の力量向上プロセスを分析する。現在、研究代表者は、京都府乙訓地方の8中学校、熊本大学附属中学校、京都市立堀川高等学校など、複数の学校と継続的に共同研究開発を行っている。各校の研究開発のテーマは、パフォーマンス評価を生かした指導の改善、地域の複数校で共有するスタンダードの開発、探究的な学習を促進するためのカリキュラムと評価の開発、生徒のコンピテンシーを育成するためのポートフォリオとルーブリックの開発など、多彩なものとなっている。本研究では、それぞれのフィールドのニーズに対応するための教員研修プログラムの開発などを進める。 (2)E.FORUMのネットワークで蓄積された資料を分析する。京都大学大学院教育学研究科E.FORUMでは、各種の実践資料を蓄積するデータベース「E.FORUM Online(EFO)」を開設している。本研究では、EFOに蓄積された実践資料の分析を通して、教師の力量について検討する。また、本共同研究グループが平成25年度までに開発した「E.FORUMスタンダード(第1次案)」を生かした研修プログラムの開発にも取り組む。 (3)日本や英国・米国における先行事例や研究成果について、調査を行う。 (4)以上の成果を生かした研修プログラムを、E.FORUMの研修において提供する。これは、本研究の成果を検証する機会となるとともに、研究成果を教育現場に普及する場ともなる。
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次年度の研究費の使用計画 |
機材について、既に購入しているものを使うことができたため、物品費の支出が予定よりも少なくなった。また、共同研究開発を行う学校の大半が近隣にあり、先行事例等についても文献による調査が可能であったため、旅費の支出が予定よりも少なくなった。 文部科学省においては、次の学習指導要領の改訂に向けた作業が開始されており、汎用的スキルや教科の本質に関わる内容の指導が強調される方向性が示されている。このような新たな政策動向に対応する形で、今後、学校現場においても、教師の力量向上についての新たな課題が顕在化することが予想される。次年度使用分の予算の大半については、そのようなニーズに対応する文献資料等の収集に充てる予定である。 また、平成25年度に収集した様々な実践資料について、平成26年度にさらに分析を進める必要がある。したがって、次年度使用分の予算の残りの金額については、そのための研究補佐の雇用に用いる予定である。
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