研究課題/領域番号 |
25285213
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
藤川 信夫 大阪大学, 人間科学研究科, 教授 (10212185)
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研究分担者 |
藤田 雄飛 九州大学, 人間・環境学研究科(研究院), 准教授 (90580738)
中嶋 尚子 佐久大学, 看護学部, 助教 (40347373)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | ドラマトゥルギー / 演出論 / 演劇論 / シンボリック相互作用論 / 国際研究者交流・ドイツ / 高齢者介護福祉 |
研究概要 |
平成25年度の研究実績は以下の通りである。(1)老人介護施設、大学、障害者福祉、児童福祉施設で行った予備研究の成果を、文献研究、フィールド研究により継続発展させ、さらに、8月初旬までにその成果の英訳し、8月初旬にはベルリン自由大学において、英訳原稿をもとに、ドイツの共同研究メンバーを交えて討議を行った。(2)平成25年9月と26年3月には、大阪大学にて研究成果報告会を開催した。(3)関西地区の学校教員、大阪大学、京都大学、九州大学の学生を対象に研究方法の普及と共同研究者の新規メンバーの獲得に取り組み、新たに生涯教育、SNS、特別支援教育、コリアンタウン、医師教育を研究対象とする新たな研究を開始した。その成果の一部は、すでに論文化可能な段階に達している。(4)以上の成果の一部は、大阪大学出版会の出版助成制度により平成26年度秋までに図書(仮題『教育と福祉の動的ドラマトゥルギー』)として出版することが決定している。 上記(4)の図書(論文集)所収予定論文は以下の通りである。①藤川信夫「教育と福祉の動的ドラマトゥルギー」、②京極重智「教育と福祉の類似性について」、③江川美由紀・京極重智「ドラマトゥルギーの観点から見る認知症高齢者と介護福祉士」、④藤田雄飛「児童自立支援施設のドラマトゥルギー」、⑤高田俊介「A学園運動会における参与観察」、⑥佐々木暢子「大学授業のドラマトゥルギー」、⑦河合翔「〈意のままにならない身体〉との相互行為」、⑧上田慶祐「仮想空間における相互行為」、⑨渡川智子「美術館の動的ドラマトゥルギー」、⑩藤川信夫「終章」。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成25年度の研究は順調に進展しており、当初の目的をおおむね達成できている。その理由は以下の通りである。 (1)科学研究費申請までの間に多くの事例研究についてすでに予備調査を開始していたため、採択後の研究はおおむね順調に進んでいる。 (2)また、いくつかの大学での講義、教員免許状更新講習等の機会を活用して方法論(ドラマトゥルギー)の普及に努めることができ、それによって、新たな共同研究メンバーを獲得し、研究領域を広げることにつながった。 (3)研究成果を図書(論文集)として出版することが決定したことにより、研究参加者のモチベーションがいっそう高まった。 (4)研究成果の一部の英訳原稿をドイツの研究者に予め送付することで、効率よく、かつ、実りの多い議論を行うことが可能になった。 (5)共同研究全体の特徴として、方法論議を行うことよりもむしろ、方法(ないし観点)を実際に活用することに重点を置いた結果として、必ずしも学術的な論議や論文作成に慣れていない現職教員や学部学生にも、共同研究に参加してもらうことができた。
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今後の研究の推進方策 |
(1)基本的には、平成26年度も平成25年度と同様の手続きで研究を進めていく予定である。 (2)ただし、とくに高齢者介護福祉及び看護の領域に関しては、専門領域を隔てる壁が強固であるため、新たな調査協力者を獲得する努力とともに、他分野にも受け入れられるような質的研究の方法論の改善を模索していく予定である。 (3)教育、福祉、看護、医療等の領域における日常的相互行為の分析をより精緻化していく手立ての一つとして、すでに演劇領域で蓄積のある演劇論、演出論から新たな概念を抽出していく予定である。 (4)共同研究参加者のモチベーションを維持するため、研究成果を引き続き図書(論文集続編)として出版できるよう努める予定である。 (5)平成26年8月初旬のドイツでの研究討議を効率的に行うため、平成26年7月中旬までに提出された個別研究の成果を英訳し、ドイツ側メンバーに送付しておく予定である。 (6)平成26年8月末、九州大学で開催される日本教育学会第73回大会にて、「ラウンドテーブル」の枠内で、共同研究の成果を提示する予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成25年8月初旬にドイツ・ベルリン自由大学で行った研究打ち合わせに際し、事前に研究成果(論文)を送付したが、その一部は未完成であり、翻訳(英訳)作業を行うことができなかったため。 平成26年8月初旬に、ドイツ・ベルリン自由大学で行う研究打ち合わせに際し、事前に送付する資料(論文)の翻訳(英訳)作業に用いる予定である。
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