研究課題/領域番号 |
25285220
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研究機関 | 学習院大学 |
研究代表者 |
佐藤 学 学習院大学, 文学部, 教授 (70135424)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 教育学 / 国際研究交流(6か国) |
研究実績の概要 |
平成26年度は、当初の計画通り、「学びの共同体」を標榜する学校改革の実践、研究(学会誌、学位論文)、映像資料などのデータベースを作成し、ホームページに掲載した。データベースと完成させた国は、日本、中国、韓国、台湾、シンガポール、インドネシア、ベトナムの7か国である。このデータベースによって、これら7か国の「学びの共同体」の実践と研究の状況をすべての国の関係者が共有することとなった。 さらに平成26年度は、中国、台湾、韓国、インドネシア、ベトナムを合計10回訪問し、それぞれの拠点大学を訪問して、学術講演会を開催し、同時に、それぞれの国々の拠点学校を計24校訪問して、ネットワークを強化した。さらにインドネシアで開催された世界授業研究学会において基調講演を行い、「学びの共同体」の改革の国際貢献を行った。 平成26年11月には、第二回学びの共同体国際会議を勤務校の学習院大学において開催し、10か国の参加者をえて、授業実践に関する集約的な研究交流を4日間にわたって展開した。 平成26年度は、代表者の学びの共同体に関する本が、中国で1冊、台湾で1冊、韓国で2冊、インドネシアで1冊、ベトナムで2冊、英語文献で1冊、翻訳出版された。また、本研究に参画する海外の協力者による学びの共同体の英語論文5編、英語の単行本が1冊、韓国語の単行本が1冊、ベトナム語の単行本が1冊、出版された。代表者も、国内において本プロジェクトの本を2冊編集し出版した。また若手研究者によって、学びの共同体の改革のアジアにおける展開を叙述した本が1冊刊行された。その他、海外における本プロジェクトによる学びの共同体の博士学位論文は10編以上、学術雑誌論文も10編以上が公刊された。このように、国内外における研究論文と著書の公刊においても、大きな成果を収めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
研究の主眼の一つであるデータベースの作成については、概ね、計画通りであるが、研究物の公刊(国内外)においては、当初の期待以上の成果を収めており、10か国にわたる国際研究ネットワークの交流に関しては、国際シンポジウムと研究交流など、期待以上の成果を収めてきた。特に代表者の海外への翻訳出版(英語、中国語、台湾語、韓国語、インドネシア語、ベトナム語)は予想以上の数と量に達している。 さらに、学校現場における学校改革の進展は、特に台湾、韓国、インドネシアにおいて顕著な進展をとげ、それぞれの国の学校改革の最大勢力へと発展している。たとえば、中国の主要都市(上海、重慶など)において、学びの共同体の改革は市教育局の政策になっており、インドネシアとベトナムでは国家政策の一つ、韓国においては17人の教育長のうち15人が推進、台湾においてはすべての教育長が政策として支持している。これらは本プロジェクトの国際貢献の一つである。 学術的な貢献においても、中国、韓国、日本、台湾において、本プロジェクトに関連した博士学位論文が10編以上、この年度に生まれており、若手の研究者育成にも貢献した。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究の重点は以下の3点である。①学びの共同体の学校改革と授業改革の事例研究の国際交流をいっそう定着させ、各国において年次大会を開催することである。②学びの共同体の学校改革については、すでに各国で多数の博士学位論文を生み出している。これら若手研究者の学術交流のネットワークを構築する必要がある。 ①の研究交流の国際会議は、平成27年度は8月6日から9日まで学習院大学において第3回学びの共同体国際会議を開催することを決定しており、中国、韓国、台湾、シンガポール、インドネシア、ベトナム、タイから本プロジェクトにおいて協同している研究者を招聘し、教師の実践交流と研究者の学術交流を行う。 ②の若手研究者と学術研究の公刊については、これまでどおり、各国の若手研究者の本プロジェクトに関連する博士学位論文の執筆の助言、学術雑誌への寄稿の支援を行う予定である。
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