研究課題/領域番号 |
25285254
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 佛教大学 |
研究代表者 |
山口 孝治 佛教大学, 教育学部, 准教授 (50460704)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 教科教育 / 体育科教育 / 授業研究 / 教授戦略 / 視線 |
研究概要 |
体育授業時の教師のモニタリング戦略(子どもの動きの観察・判断に関わる戦略)の内実を明らかにすることを目的とした.今年度は研究課題の1つ目として,熟年教師と若年教師のモニタリング戦略の共通性と異質性を明らかにしたいと考えた. 熟練教師2名と若年教師2名の計4名を対象に,彼らに第三者による授業VTR(5年生:マット運動)の視聴を依頼した.このとき,被験教師にはアイマークレコーダー(EMR-9)の装着を依頼し,視線の動向を収集した.併せて,「感じたこと,考えたこと」等の自由な発言を依頼し,それら発話内容を収集するとともに文字化した.視線動向データは「子ども」「教師」「場」にカテゴリー化し,発話内容は「体育授業についての教師の知識領域」(中井・岡澤,1999)カテゴリーを参照し,カテゴリー化した.その上で,熟練教師と若年教師の比較を試みた. 得られた結果についての概要は次の通りである.1)4名の教師の注視カウント数についてみると,頻度の偏りは有意であった.注視の対象を「子ども」「教師」「場」に分類すると,いずれの教師も「子ども」を中心に観察していることが明らかとなった.また,4名の教師の視線の動向についてみると,A教師,B教師,C教師は特定の児童を注視している様子が多く確認されたのに対し,D教師は様々な児童を満遍なくみようとしている様子が多く確認された.2)「体育授業についての教師の知識領域」(7領域)より分類された4名の教師の「教師の知識」についてみると,頻度数の偏りは有意であった.これより,熟練教師は若年教師に比して「単一的知識」と「複合的知識」の頻度数の合計が多いことが明らかになった.3)以上より,視線が表象的には同様であったとしても,その‘みかた’に差異があると考えられた.すなわち,熟練教師は若年教師に比して体育授業についての知識を基盤に授業を展開していると考えられた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
3年計画の中で研究課題を3つ設定し,単年度でひとつの研究課題を遂行するように計画している.本年度は,第1課題に取り組んできたが,データの収集,分析,まとめ等については,計画通りに進められている.成果については,京都滋賀体育学会でも発表し,現在,学術論文として執筆中である.
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今後の研究の推進方策 |
今年度は2つ目の研究課題に取り組んでいきたい.若年教師と熟練教師に,授業実践時にアイマークレコーダーの装着を依頼し,視線の動向について収集する.授業実施後に自らの視線の記録を依頼し,再生刺激法により発話プロトコルデータを収集する.これら2つのデータをもとに,視線と意思決定の関係性について,両者の共通性と異質性から検討を行っていきたい.
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