研究課題/領域番号 |
25285261
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
中野 泰志 慶應義塾大学, 経済学部, 教授 (60207850)
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研究分担者 |
田中 良広 独立行政法人国立特別支援教育総合研究所, 教育支援部, 総括研究員 (70392933)
氏間 和仁 広島大学, 教育学研究科(研究院), 准教授 (80432821)
韓 星民 福岡教育大学, 教育学部, 講師 (60643476)
永井 伸幸 宮城教育大学, 教育学部, 准教授 (50369310)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 視覚障害 / 弱視 / ロービジョン / 拡大 / デジタル教科書 / 教科書 / タブレット / 合理的配慮 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、教科書へのアクセシビリティを向上させるシステムを構築することである。インクルーシブ教育を推進するためには、教科書へのアクセスは、重要な合理的配慮事項である。特に、視覚障害者にとっては、配慮がなければ、教科書へのアクセスは困難であり、修学に大きな影響が出ると考えられる。義務教育段階では、点字・拡大教科書が無償で給与される体制が整っており、実態調査も行われている。しかし、高等学校以降では、使用状況や効果の実態も明らかになっていなかった。そこで、本研究では、後期中等教育に焦点を絞り、教科書デジタルデータの活用実態を調査した上で、教科書デジタルデータ活用システムを構築するための基礎研究を実施した。 平成26年度は、昨年度に引き続き、教科書デジタルデータの管理機関に対するヒアリング調査、教科書出版社やボランティアに対するヒアリング調査、視覚障害特別支援学校におけるタブレット端末利用状況に関する全国調査、視覚障害特別支援教育就学奨励費での高等部のICT機器購入助成制度の活用状況調査、点字・拡大教科書等のアクセシブルな教科書を提供するシステムの在り方に関するグループディスカッション、デジタル教科書のファイルフォーマットの比較調査等を実施した。そして、研究成果について様々な専門家と議論をするために日本特殊教育学会自主シンポジウム「教科書バリアフリー法と特別支援教育(5)--視覚障害教育における電子化教科書の理想像を目指して--」、第56回日本弱視教育研究全国大会ワークショップ「体験を通して学ぶタブレット端末5W1H」「タブレット端末アドバンス講座」、第7回拡大教科書の在り方に関する公開シンポジウム「デジタル教科書最前線」、第8回拡大教科書の在り方に関する公開シンポジウム「iPadは拡大教科書の代わりになるか?」を開催した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究でデジタル教科書の閲覧に活用しているiOSのバージョンアップにより、試用評価や研修プログラムの試作が多少遅れているものの、教科書発行者、教科書協会・拡大教科書専門委員会、教科書デジタルデータ管理機関、全国拡大教材製作協議会、全国盲学校校長会等との連携がスムーズにとれており、おおむね順調に研究が推進出来ている。今後もこれらの関連団体との連携を密にして、研究を推進する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
本研究は、教科書発行者、教科書協会・拡大教科書専門委員会、教科書デジタルデータ管理機関、全国拡大教材製作協議会(拡大教科書を作成しているボランティアを取りまとめている団体)、全国盲学校校長会等との連携がスムーズにとれており、研修プログラムを試行するための研究協力校も増えているため、計画通りに研究が推進出来ている。今後もこれらの関連団体との連携を密にして、研究を推進する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
本研究では、デジタル教科書を閲覧するためにiPadを利用しているが、2014年度にOSの大きなバージョンアップがあり、これまで利用していたアプリが利用できなくなった。そのため、試用評価や研修プログラムの試作が遅れてしまったために、研究を次年度に先送りせざるを得なくなった。
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次年度使用額の使用計画 |
OSのバージョンアップへの対応はほぼ終了したため、先送りにしていた試用評価や研修プログラムは、実施することが可能となった。繰越金は、試用評価のためのiPad、学校での研修プログラム試用のための運搬用梱包材・充電装置等の購入に利用する計画である。
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