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2014 年度 実績報告書

水素ナノ気泡を主題とした絶対電位の再検討

研究課題

研究課題/領域番号 25286002
研究機関埼玉大学

研究代表者

中林 誠一郎  埼玉大学, 理工学研究科, 教授 (70180346)

研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2016-03-31
キーワードナノ気泡 / 水素発生反応 / 白金単結晶電極 / フラクタル
研究実績の概要

平滑に研磨した白金多結晶を電極に用いて、水素ナノ気泡の界面捕獲量(Q)を電気化学法で求めた。多結晶白金表面をORC(oxidation reduction cycle)を繰り返し逐次荒らした。表面のラフニング(R)は、水素吸着波の電気量から見積もった。 ORCサイクル数を増加させると、予想どおりRも増加した。しかしながら、QはRと共に増加するものの、Qの増加は上限を持ち、飽和に到る。この実験事実は、安定なナノ気泡のサイズに下限があることを意味する。Rの増加は、表面の荒れと共にフラクタル次元が増加し、小さなピットが生じるためにおこる。Qに上限値があるのは、小さなピットの中でナノ気泡が捕獲されないことを示唆する。即ち、ナノ気泡は固液界面の粗面化と共に捕獲率が上がるが、臨界大きさよりも細かい粗面では気泡が安定化されない。この仮説を基に、完全に原子レベルで平坦なPt(111)上で水素ナノ気泡が存在するかどうかを調べた。硫酸酸性中での構造敏感CVから、Pt(111)の完全性を評価した。完全なPt(111)の作成条件を確立するために1年弱の時間を要したが、完全結晶表面を得る手法を確立できた。現在予備的な段階であるが、原子的平坦面におけるナノ気泡の存在は、荒れた面よりもきわめて少ない事が判った。現在、原子的平坦面での、水素ナノ気泡の有無の決定を進めている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

原子的に平坦なPt(111)の作成技術の確立に時間を要した。このため、原子的平坦面でのナノ気泡の存在に決着がつかなかった。しかしながら、現在、文献と完全に一致する構造敏感CVを再現性良く得られることから、原子的に平坦なPt(111)を再現性良く作成することが可能となった。今後、雰囲気制御を厳密に行い、構造敏感CVの寿命を延ばし、不純物混入による清浄界面の汚染を極力低下させる。これらの準備が整えば、ナノ気泡の有無を曖昧さ無く決定できる。時間は掛かったものの、信頼性の高い実験条件が完備したことから、この遅れは充分に回復可能であると確信できる。

今後の研究の推進方策

固液界面のナノ気泡は、その発見から20年が経つものの、界面の汚染によるアーティファクトであるとする批判に晒され、その存在の有無に決着が着いていない。原子的に平坦なPt(111) 電極上を用い、水素ナノ気泡の有無を判定できれば、原子的に規定された汚染のない界面での実験条件が担保されるので、20年にわたる議論を終結させることができる。また、原子的平坦面を、ORC法で粗面化し、水素ナノ気泡の存在の有無と存在量を求めると、表面のピットの3次元構造により気泡が安定化される事実を曖昧さ無く示す事ができる。その際、Pt(111)電極を2本用いて、1本を界面汚染のモニターに用いることで、より信頼性のある測定条件を担保することができる。

次年度使用額が生じた理由

前年度に購入した白金線があまり、これを引き続き利用したため本年度の電極作成経費があまった。クラビリエ法による白金単結晶作製法が確立できない場合、市販の単結晶を購入する予定としたため、有効な使用の方途を確定できなかった。

次年度使用額の使用計画

クラビリエ法による単結晶作成技術を確立したため、この残額で白金線を購入し同法により白金単結晶を作成して実験を進める。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2014

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件、 謝辞記載あり 2件)

  • [雑誌論文] Reconstruction of Joint Hyaline Cartilage by Autologous Progenitor Cells Derived from Ear Elastic Cartilage2014

    • 著者名/発表者名
      Mizuno, M; Kobayashi, S ; Takebe, T ; Kan, H ; Yabuki, Y ; Matsuzaki, T; Yoshikawa, HY ; Nakabayashi, S ; Ik, LJ; Maegawa, J ; Taniguchi, H
    • 雑誌名

      STEM CELLS

      巻: 32 ページ: 816-821

    • DOI

      10.1002/stem.1529

    • 査読あり / オープンアクセス / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] High Contrast Visualization of Cell-Hydrogel Contact by Advanced Interferometric Optical Microscopy2014

    • 著者名/発表者名
      Matsuzaki, T (Matsuzaki, Takahisa); Sazaki, G (Sazaki, Gen) ; Suganuma, M (Suganuma, Masami) ; Watanabe, T (Watanabe, Tatsuro) ; Yamazaki, T (Yamazaki, Takashi); Tanaka, M (Tanaka, Motomu) ; Nakabayashi, S (Nakabayashi, Seiichiro); Yoshikawa, HY (Yoshikawa, Hiroshi Y.)
    • 雑誌名

      JOURNAL OF PHYSICAL CHEMISTRY LETTERS

      巻: 5 ページ: 253-257

    • DOI

      10.1021/jz402463u

    • 査読あり / オープンアクセス / 謝辞記載あり

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公開日: 2016-06-01  

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