研究課題
基盤研究(B)
環境への負荷が少ないグリーン触媒の開発は、エネルギー問題や環境問題を克服するための最重要課題の一つである。バルク状のPd-Ni-Pアモルファス合金は、通常の多結晶体金属と異なり、結晶粒界や格子欠陥が存在しないため、優れた耐久性を有することが知られている。そこで今回同じ成分からなる合金微粒子を化学的プロセスで作成し、その構造解析と触媒活性について検討を行った。その結果、還元剤や界面活性剤等を選ぶことにより、粒子径が6、8、11、17nmに揃った4種類の合金微粒子を作成することに成功した。これらはSTEM-EELS、HRTEM、SAED等による解析から、均一なアモルファス構造であることを確認した。また、8 nmの微粒子を比表面積の大きな炭素上に担持して、メタノールの電解酸化用電極触媒として活性評価を行ったところ、初期段階では市販のPd/Cとほぼ同程度の触媒活性を示したが、CVによる掃引を400回繰り返したところ、Pd/Cの触媒活性は半分程度に大きく低下したが、Pd-Ni-P/Cではわずかに3.5%しか低下しなかった。また、アニーリングにより一部を結晶化させたPd-Ni-P/Cでも検討を行ったところ、初期段階ではアモルファス触媒よりも活性がやや高いものの、やはり繰り返し酸化反応を行うと活性が低下し、アモルファス触媒の活性を大きく下回った。これらの結果は耐久性の向上にアモルファス構造が重要であることを示している。また、リンを含まない結晶状のPd-Ni/Cでは活性、耐久性ともに低い結果となったことから、これら三元素によるシナジー効果の重要性についても明らかにした。
1: 当初の計画以上に進展している
目的とするアモルファス状ナノ粒子の作成に成功し、ガラス転移の観測からその金属ガラスとしての特性を明らかにした。更に本材料がメタノール電解酸化用電極触媒として有用であることを見出し国際誌に報告を行った。
アモルファス合金ナノ粒子の触媒としての更なる有用性を明らかにするために、様々な変換反応に応用してその活性評価を行う。
本年度は研究が期待以上に進展したため、進展しなかった場合に検討する予定であった様々な試薬を購入する必要がなくなったため。初年度に開発に成功した触媒を様々な反応系に適用するため、主に薬品類の購入に充てる予定である。
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