研究課題
環境への負荷が少ないグリーン触媒の開発は、エネルギー問題や環境問題を克服するための最重要課題の一つである。我々はこれまでに化学的プロセスにより、平均粒子径を6、8、11、17nmに制御した三元系Pd-Ni-P合金微粒子の作製に成功した。STEM-EELS、HRTEM、SAED等による解析の結果、これらの微粒子がアモルファス構造であることを明らかにした。続いて、8nmの微粒子をカーボンブラックに担持し、これをメタノールの電解酸化用電極触媒として用いたところ、他の類縁体と比べて優れた触媒活性と耐久性を有していることを明らかにした。そこで次に我々はこの微粒子をPtでコーティングしたPd-Ni-P@Ptコアシェル構造を構築し、その白金触媒の触媒活性について検討することを目的として研究を行った。まず前回報告した条件でPd-Ni-P合金微粒子を作製し、これに白金塩を加えて還元することにより、目的のコアシェル構造を作製することに成功した。また白金コーティングの条件を様々に変更することで、コーティングの厚さ制御について検討を行った。この微粒子をメタノールの電解酸化用電極触媒として用いたところ、他の類縁体と比べて優れた触媒活性と耐久性を有していることを明らかにした。これはコア部分のPd-Ni-Pが白金層と電子的相互作用を起こし、これが触媒活性に影響を与えたことによる結果とみなすことができる。また耐久性も向上することを見出した。
1: 当初の計画以上に進展している
初年度に目的とするアモルファス状ナノ粒子の作成に成功し、国際誌に報告した。昨年度はアモルファス核から成るコアシェル型微粒子触媒の作成に成功した。
アモルファス合金ナノ粒子の、触媒としての有用性を明らかにするために、様々な変換反応に利用してその活性評価を行う。
当初予定していた研究計画が期待以上に予定通り進み、予定していた試薬等の消耗品の購入額を抑えることができたため。
本研究を進める過程で、当初期待していなかった新しいナノ材料を開発することができた。このナノ材料は本来予定していた金属ナノ粒子触媒の派生体と捉えることができ、両者を研究することでより汎用性の高い触媒開発につながることが期待される。当該助成金はこれらの研究を進めるための消耗品購入に充てる。
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すべて 雑誌論文 (15件) (うち査読あり 15件、 謝辞記載あり 2件) 学会発表 (17件) (うち招待講演 4件) 図書 (1件)
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