研究課題/領域番号 |
25286019
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
中山 幸仁 東北大学, 原子分子材料科学高等研究機構, 准教授 (50312640)
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研究分担者 |
横山 嘉彦 東北大学, 金属材料研究所, 准教授 (00261511)
薮上 信 東北学院大学, 工学部, 教授 (00302232)
柳沼 晋 東北大学, 原子分子材料科学高等研究機構, 助教 (80516518)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | アモルファス合金 / ナノワイヤー / 表面構造 |
研究概要 |
本年度の研究計画に基づき、低保磁力、高透磁率、広過冷却液体領域を持つCo36Fe36B19Si5Nb4 母合金の作製に成功した。この母合金を用い、ガスアトマイズ法を駆使することでナノファイバー化を実現するに当たり、ガスアトマイズ工程には、ガスの種類、融解温度、溶湯粘度、合金種、ガス圧力、ノズル形状など多くのパラメータが存在する。一般的な粉体作製では、溶湯温度を液相線温度以上に加熱して溶湯粘度を極端に減少させることにより球状化を容易にするが、ナノファイバー化には、試料を融点以上へ一端加熱した後、溶湯温度を融点以下へ過冷却した状態においてガスアトマイズを行うと、高い粘性から曳糸性が増大し、球状よりもむしろ多数のナノワイヤーが作製できることを見出した。 今回は主に融解温度を放射温度計で測定することにより、溶湯粘性を概算し、粘性を高めることにより、Co36Fe36B19Si5Nb4 アモルファス合金ナノワイヤーの作製に成功した。 作製に成功したナノワイヤーに対してFIBを用いたナノ微細加工を行い、プロトタイプの磁気インピーダンス測定素子の構築にも成功している。更には、研究分担者である東北学院大学薮上教授と研究計画に則り外部磁場を印加した際のインピーダンス測定にも成功した。来年度はこのプロトタイプ磁気インピーダンス測定素子を多数個作製することにより、更にインピーダンス測定精度を向上させることが研究の主題となる。 一方、Co36Fe36B19Si5Nb4 アモルファス合金ナノワイヤー表面には酸化膜が形成されていることが透過電子顕微鏡観測より判明し、この酸化膜の影響を調査するために新たに走査トンネル顕微鏡を導入して表面原子構造の調査を実施する。更に、原子間力顕微鏡を用い、励磁されたナノワイヤーの磁区構造も調査する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
Co36Fe36B19Si5Nb4 母合金の作製、ガスアトマイズ法によるCo36Fe36B19Si5Nb4 アモルファス合金ナノワイヤーの作製、プロトタイプの磁気インピーダンス測定素子の構築、外部磁場を印加した際のインピーダンス測定の成功等、研究計画に則り研究が推進している。26年度中頃にはインパクトファクターの高い学術誌へ論文を投稿する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
上記の達成度を満足する成果が得られているが、Co36Fe36B19Si5Nb4 アモルファス合金ナノワイヤー表面には酸化膜が形成されていることが判明し、この酸化膜の影響を調査するために新たに走査トンネル顕微鏡を導入しアモルファス合金表面の原子構造を早急に調査する必要があり、今後はこうした基礎的知見を得る研究も推進する方針である。更に、原子間力顕微鏡を用い、励磁されたナノワイヤーの磁区構造も調査する予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
原子間力顕微鏡を用い、励磁されたナノワイヤーの磁区構造を観測する準備に適用する予定であったが、25年度は軟磁性ナノワイヤーの作製、プロトタイプMI磁気感磁素子の試作、その素子を用いた外部磁場を印加時のインピーダンス測定に研究が集中したため、磁区観測装置の準備ができなかった。 26年度は本予算を用いて磁区観測装置の購入を進め、本研究計画に則り外部磁場で変化する磁区構造の変化を捉え、磁気感磁に関する基礎的な知見を得る予定である。
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