研究課題/領域番号 |
25286024
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
齋藤 弥八 名古屋大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (90144203)
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研究分担者 |
安坂 幸師 名古屋大学, 工学(系)研究科(研究院), 講師 (50361316)
中原 仁 名古屋大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (20293649)
村田 英一 名城大学, 理工学部, 准教授 (40387759)
永井 滋一 三重大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (40577970)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | カーボンナノチューブ / 電子源 / 電界放出 / 走査電子顕微鏡 / 近軸軌道計算 / レンズ系 / 収差係数 |
研究概要 |
1本の単一カーボンナノチューブ(CNT)を電子源とする小型走査電子顕微鏡(小型SEM)の開発のために,本年度は,以下の研究を実施した。 1.CNT電子源の近軸軌道計算および実軌道計算:CNT電子源の電子引出・集束系を構成する電子レンズはサプレッサ(ウェーネルト電極に相当)、引出電極、バトラーレンズとした。CNTエミッタの形状は直径20nm、長さ1μm、先端形状を半球としてモデル化した。サプレッサ、引出電極、バトラー第1陽極および第2陽極の開口半径および電極間距離、ならびに印加電圧を変化させて、倍率、像面位置、球面収差係数、色収差係数、クロスオーバーのサイズ、電子光学輝度の計算を行った。これにより以下の設計指針を得た。引出電極の開口半径aの電子光学輝度への影響は比較的少ない。しかし、CNTエミッタの放出電流量には大きく影響を及ぼすため、a=1mm程度が良い。引出電極とバトラー第1陽極の間の距離bは小さいほど良いが、電極間の耐圧などを考慮すると、b=1mm程度が良い。また、軸上位置z=33mm付近にクロスオーバーを形成させる動作モード(印加電圧の組合せ)は、複数存在するが、引出電極とバトラー第1陽極間(距離b=1mm)の耐圧などを考慮すると、引出電極1kV、バトラー第1陽極0.65kV、バトラー第2陽極17kVの条件で動作させることが望ましい。 2.CNT電子銃部の設計と作製:上記の軌道計算の結果に基づき,レンズ系を設計・製作した。また,CNT電子源の機械的軸調整を可能とする機構を設計した。 3.CNT電子源搭載用の小型SEM鏡体の改造と電子銃部の真空排気系の強化:CNT電子銃の搭載に適して接続部を有する小型SEM鏡体を設計し,特殊仕様の小型SEMとして購入した。また、CNT電子源の安定動作のために,電子銃部を鏡筒とは別系統で真空排気する真空排気系を設計・製作した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初計画に挙げた、CNT電子源搭載用の小型SEM鏡体の改造および電子引出電極および集束レンズの設計を遂行できた。
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今後の研究の推進方策 |
当初計画に沿って、CNT電子源用引出電極・集束レンズ系を小型SEMに組み込め、実際に電子ビームを出し、電子光学的特性の評価を行う。 次年度への繰越額1,485,344円は次年度の物品費として使用する予定。
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次年度の研究費の使用計画 |
備品として購入した小型走査電子顕微鏡およびターボ分子ポンプの価格が年度当初の予定価格よりも安く納品されたため。 繰越額1,485,344円は次年度の物品費にあてる。
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