研究課題/領域番号 |
25286025
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
永野 修作 名古屋大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (40362264)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | ナノ材料 / ブロックコポリマー / ミクロ相分離構造 / 液晶性高分子 |
研究概要 |
液晶性アゾベンゼンブロックコポリマーのミクロ相分離の光配向技術をデバイス材料に発展させる技術開発を目的とした研究を行っている。本年度は、ポリスチレン-block-ポリ(4-ビニルピリジン)[PS-b-P4VP]のP4VP部に、アゾベンゼンメソゲンを超分子として側鎖に導入した超分子液晶ブロックコポリマーの開発を行い、薄膜に形成されるミクロ相分離構造の液晶相およびミクロ相分離構造の配向構造を明らかにした。 液晶性アゾベンゼン安息香酸部位を、PS-b-P4VPのP4VP部に水素結合を介して側鎖液晶メソゲンとして導入した超分子ポリマーを調製した。偏光顕微鏡観察、示差走査熱量分析、X線散乱測定から、超分子ポリマーは、スメクチック液晶性を示すことがわかった。この超分子液晶ポリマーの薄膜の斜入射X線散乱測定およびAFMを行ったところ、ホメオトロピック配向したスメクチック液晶相と垂直配向したラメラ構造が観察された。さらに、エタノールにて洗浄することにより、この薄膜からアゾベンゼン液晶基の除去が可能であった。 一方、平行して、ホメオトロピック配向性を示す側鎖型液晶高分子に、体表面張力の光応答性ブロックコポリマー、ポリ(ブチルメタクリレート)-block-ポリ(アゾベンゼンメタクリレート)[PBMA-b-PAz]を少量添加して、薄膜を調製するとPBMA-b-PAzの表面偏析により、ランダムプレーナー配向が誘起されることを見いだした。これは、表面偏析現象により内部構造の配向性を変えることができる新たな知見であり、PAzの光応答性により光配向もかのであることも明らかになった(Free-Surface Molecular command system)。 今後、これらを組み合わせた液晶性ブロックコポリマーのデバイスナノ材料の創製技術に展開していく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
超分子液晶ブロックコポリマーによる垂直配向性のラメラ構造は、デバイス構造として有用な多孔構造の配向構造としては理想的なものである。また、垂直配向性液晶高分子を表面偏析現象によりランダムプレーナー配向を誘起する技術の見通しが立っており、これらを組み合わせれば、ミクロ相分離構造の光配向技術とナノ材料化が達成できる道筋がおおむねできたと考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
超分子液晶アゾベンゼンブロックコポリマーのミクロ相分離の光一軸配向技術を達成する。また、超分子メソゲンを取り除いたドメインに金属析出、無電界メッキを施し、異方的な金属ナノパターンを構築し、デバイス開発を目指す。
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次年度の研究費の使用計画 |
学内のナノテクプラットフォーム等の機器の共同利用を使用し、研究費の節約が可能であったこと、また、研究備品の購入計画をグローブボックスからウルトラミクロトームに変更したことが理由である。 本研究に必要な柔軟な液晶高分子薄膜の断面観察を可能にする、ウルトラミクロトーム用の超音波式ダイヤモンドカッターを購入し、走査型電子顕微鏡、透過型電子顕微鏡による断面観察を遂行する予定である。
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