研究課題
基盤研究(B)
(1)TEM内で結晶方位を確認し、試料の適切な回転角度を決定するための作業支援用ソフトウェアの基本設計を行った。本年度は、電子顕微鏡に付帯するCCDカメラ等の撮像装置制御およびデータ解析に使用されているGatan社 Digital Micrographソフトウェアのスクリプト機能を利用し、試料の観察部位がホルダーの回転軸(機械軸)上にない状況を想定して作業支援ソフトウェアに必要な機能の選定を行った。試料を傾斜させながら像を3枚程度撮像し、これらを重ねた上で高速フーリエ変換を行う事によって、試料の傾斜軸=ホルダーの回転軸を一義に決定できる事が確認できた。(2)圧縮センシングによる3D画像の試料厚み方向の寸法再現精度を決定する因子をリストアップし、測定条件の異なる実験データからの3D画像を基に個々の因子を重み付け、定量評価することで、実験条件の違いや実験上の制約を加味した寸法校正手法を設計するための準備を行った。傾斜角度範囲、角度ステップ、撮像モードを基に10通り以下の校正曲線を作成することで、材料解析に一般的に用いられる実験条件をほぼ網羅できた。また、コントラストの低い像に関しては信号/ノイズ比が低くなるため、圧縮センシング法ではエッジ成分と一緒にノイズ成分が一部増幅されてしまうことが明らかになった。
2: おおむね順調に進展している
当初予定では、高傾斜3軸試料ホルダーにセットした試料を任意の角度に回転できるホルダー台を開発する予定であったが、ホルダー台の製作業務の依頼先業者の都合等により、次年度以降に持ち越しになった。一方、当初は次年度に予定していたソフトウェア開発の方で成果を挙げることができており、ハード開発の遅れをソフト開発でカバーできている。結果として、研究全体の達成度としては目標レベルに達しているものと判断された。
(1)試料回転角度測定用ソフトウェアを強磁性体の観察に対応させるため、試料を傾斜させず並進移動した像からだけでもホルダーの回転軸が決定できるようにする。(2)コントラストが低い像に対する圧縮センシング法の有効性を高めるために、画像処理手法に基づくノイズフィルタリングによる改善方法を校正曲線作成と併せて検討する。(3)磁性体試料の連続傾斜像観察のなかでも、回折条件を一定に保つことが必須となる転位の連続傾斜像観察を可能とするための方法を検討する。
高傾斜3軸試料ホルダー上の試料を任意の角度に回転するためのホルダー台の製作が、製作依頼先業者の事情(受注過多)等により行えず、来年度以降に実施となったため。それに伴い、研究協力先であるバージニア工科大学でのホルダー台動作テストも行えなくなったため。高傾斜3軸試料ホルダー用試料回転台製作費用に2,358,350円、研究・打合せ旅費に1,900,000円、実験補助のための短期雇用費に300,000円、共用電子顕微鏡使用料に400,000円。
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鉄と鋼
巻: 100 ページ: in press