研究課題/領域番号 |
25286032
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 独立行政法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
田和 圭子 独立行政法人産業技術総合研究所, 健康工学研究部門, グループ長 (80344109)
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研究分担者 |
梅津 光央 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (70333846)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 表面プラズモン共鳴 / 増強蛍光 / イムノセンサー / 酸化亜鉛 / 二重特異性抗体 |
研究概要 |
平成25年度は、専用の小型計測装置の作製とサンドイッチアッセイ系の検討について行うことができた。小型装置は試料チップを水平に設置できるもので、試料チップを中心に蛍光検出器(PMT)と光源(小型半導体レーザー)がそれぞれ回転する機構とした。これにより、レーザーの照射角と蛍光検出角をそれぞれプラズモニックチップの構造に合わせて最適角に設定することができる。さらに、試料台の改良とフィルターの挿入により、小型SPF装置を完成させることができた。この装置を使って、モデル化合物(ビオチンをチップ表面に修飾し、蛍光標識ストレプトアビジンを検出)の検出感度を調べたところ、我々が構築した既存の試料垂直設置型のSPF装置よりも1桁感度が悪かったが、モデル化合物で10pMまでの検出が可能であることがわかった。今後、レーザー光強度を調整して散乱や反射による背景光のぶれを低減し、再現性を高めて検出感度を向上させる予定である。サンドイッチアッセイ系としては、捕獲抗体をチップ表面に化学結合で固定化した系で、IL-6をマーカーとし、蛍光標識抗体を検出抗体として計測した。抗体などの試料溶液はチップ上で攪拌することにより、検出感度を高めることができた。IL-6濃度に対する較正曲線を作成し、70fMまでのIL-6を検出することに成功した。今後は、現在調製中の抗IL-6x抗酸化亜鉛二重特異性抗体を用いたサンドイッチアッセイ系を利用し、より迅速・高感度検出を狙う。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
25年度の課題の一つであった「スタンパーを用いた成型加工によるレプリカチップの作製」について、共同研究実績があり、レプリカチップ作製可能な企業からの購入を予定したが、構造検討と作製プロセスの遅延のために遅れた。26年度中には入手し、AFM計測、モデル化合物やIL-6アッセイにおける蛍光増強度計測を実施する。そして、これまでの評価実績のある光ナノインプリント法によるチップとチップ構造および検出感度を比較する。
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今後の研究の推進方策 |
26年度は成型加工チップを用いたIL-6センシングをはじめ、調製中の二重特異性抗体を用いたサンドイッチアッセイ系でIL-6の迅速・高感度検出を狙う。非特異吸着抑制のブロッキングやりん酸緩衝溶液の調製濃度、界面活性剤の使用についても検討する。さらに、チップの構造を三次元で検討し、より高感度な蛍光検出を実現する計画である。計測装置については、構築した小型SPF装置での計測結果と比較するため、正立蛍光顕微鏡での計測についても検討したい。
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次年度の研究費の使用計画 |
スタンパーを用いた成型加工によるレプリカチップの作製について、共同研究実績があり、作製可能な企業からの購入を予定したが、構造検討と作製プロセスの遅延のため、レプリカチップ購入に用意していた300万円を繰り越すこととなった。また契約職員の雇用費について所内予算により充当できたため当初予定していた150万円を繰り越すことができた。 26年度、レプリカチップの購入に利用することを計画している。
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