研究課題/領域番号 |
25286035
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
小穴 英廣 東京大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (20314172)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | ゲノム / バイオテクノロジー / マイクロ・ナノデバイス |
研究実績の概要 |
本研究課題においては、顕微鏡下・マイクロ流体デバイス内で、狙った1 個の細胞(シングルセル)からクロマチンファイバーを断片化させずに単離し、解析の空間分解能を上げるために微細操作技術によって展開させた後、「顕微鏡下・その場」で特定の修飾を受けたヒストンの蛍光ラベル及び位置情報取得を行うという、個々のクロマチンファイバーに対するエピジェネティクス解析手法の基盤技術を確立することを目的としている。そして、この解析手法をマウス繊維芽細胞およびES 細胞に適用し、マイクロ流体デバイス内で脱分化/分化刺激を与えた際に細胞に引き起こされるエピジェネティクス情報変化を細胞毎に個別解析する実験を通し、本手法の有用性を実証することを最終目標としている。 本年度は、これまで実験試料として用いていたHeLa細胞に加えマウス繊維芽細胞およびマウスES 細胞を対象にし、マイクロ流体デバイス中における染色体単離に取り組んだ。前年度に問題となった、染色体取り出しの歩留まりが悪いという点については、アクチン重合阻害剤であるラトランキュリンの添加と細胞破壊時の界面活性剤の種類・濃度の検討により、HeLa細胞とマウス繊維芽細胞に対しては解決することが出来た。マウスES細胞からの染色体単離については、依然として低い歩留まりのままであった。マイクロ流体デバイス内で単離した染色体は、ヒトの場合46本であり、光駆動・抗体修飾マイクロビーズで個別に扱う作業を容易にするため、染色体を効率良く分散させる技術の必要性が明らかとなった。これらの研究成果は、国内外で開催された学会において発表を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
マイクロ流体デバイス内で動物細胞から染色体を単離するためのマイクロ流体デバイス改良を行い、これと並行して単離の際の溶液条件を検討した結果、HeLa細胞(ヒト細胞)やマウス繊維芽細胞において、実験を行うのに十分な歩留まりで染色体を単離することが可能になった。しかしながら、マウスES細胞からの染色体単離については、十分な歩留まりを得る事が出来なかった。
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今後の研究の推進方策 |
今年度の研究により、染色体を効率良く分散させる技術の必要性が明らかとなった。次年度は、マイクロ流体デバイスについて、単離染色体分散化・伸張固定という要素技術の開発に取り組んでいきたいと考えている。この要素技術を、マイクロ流体デバイスの染色体単離部の後段に設置することで、単離した染色体同士が折り重なることを抑止し、効率良く免疫蛍光染色を行う手法を構築したいと考えている。
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