本研究は、磁気微粒子を用いたハイパーサーミア(温熱療法)を実現することを目的とした。金属塩化物とメタ珪酸ナトリウムの水溶液を湿式混合する独自の製法で磁気ナノ微粒子を生成し、磁気的性質を明らかにするとともに、官能基や葉酸を修飾し、がん細胞選択性を持たせた。その上で、交流磁化率の測定から磁気緩和に関するパラメータを解析し、ネール緩和やブラウン緩和などの発熱機構を解明することで試料の最適化を行った。さらに、交流磁場を印加することにより、がん細胞のアポトーシスを導く温度上昇を実現した。実際にヒト乳がん細胞を用いたin vitro実験では劇的なハイパーサーミア効果が確認できた。
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