研究実績の概要 |
液晶性高分子有機半導体pBTTTの配向誘起層として用いる、極薄Azo-PI光配向膜の究極の作製プロセスとしてLB法に着目した。昨年度末に納入されたLB膜作製装置を用いてAzo-PI LB膜の堆積プロセスを確立した。Azo-PAAの繰り返し単位に対して1:2のモル比でN,N-ジメチルヘキサデシルアミンを混合し、Azo-PAAアミン塩溶液を作製し、水面上に展開した。水温25℃において表面圧が15 mN/m以下のときZ膜が形成された。一方、25 mN/m以上では上昇時に加えて下降時にも堆積が起こった(Y-like膜)。膜厚制御にはZ膜が有利なので、表面圧15 mN/m でLB膜を堆積することにした。 ODTSで疎水化処理された基板の場合、第1層のみ下降時に堆積され、2層目以降は上昇時に堆積が起こった。従来のスピンコート法では、疎水性表面上にAzo-PAA膜を形成することは困難であった。LB法は疎水性基板上にAzo-PI膜を形成する有効な手法である。基板表面を疎水化することにより、LB膜堆積時に誘起されるAzo-PI膜の異方性の増大、光配向効率の向上が観測された。 フローコート法によって親水性基板上、5 MLのAzo-PI LB光配向膜上にpBTTT膜を形成し、液晶相温度で15分間アニール後、その分子配向の異方性を測定した。フローコート法のみ、Azo-PI LB光配向膜を併用した場合のpBTTT膜の吸収の二色比は、それぞれ1.5、4.5であった。フローコート条件を最適化することにより、更なる異方性の増大が期待される。 並行して、スクラッチマシンを設計・製作し、ゲート絶縁膜表面にナノスケールの溝構造を形成した。現在、pBTTTに対する溝構造表面の配向能を評価している。
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