研究課題/領域番号 |
25286052
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研究機関 | 和歌山大学 |
研究代表者 |
尾崎 信彦 和歌山大学, システム工学部, 准教授 (30344873)
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研究分担者 |
杉本 喜正 独立行政法人物質・材料研究機構, 先端フォトニクス材料ユニット, 主席研究員 (60415784)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 量子ドット / 分子線エピタキシー(MBE) / 結晶工学 / 近赤外広帯域光源 / 光コヒーレンストモグラフィー(OCT) |
研究実績の概要 |
本研究は、医療用断層イメージング技術である光コヒーレンストモグラフィー(OCT)の高分解能、低ノイズ化に寄与する光源開発を目的とする。光源材料として、半導体ナノ結晶である自己組織化InAs量子ドット(QD)を用いることで、広帯域かつ近赤外波長領域で発光するInAs-QDの特長を活かした新規な光源の開発が期待される。我々はこれまでに様々なInAs-QDの発光波長制御技術の開発を行ってきており、この技術を活用して複数の中心波長を有する多波長QD群を融合させ、生体透過性の高い1~1.3um帯での広帯域光源の実用化を目指している。 平成26年度は、3年計画の2年目にあたり、1年目に達成した多波長QDベース電流注入型発光デバイス[JJAP vol.53, 04EG10(2014)]を、より実用的な光源とするべく光ファイバー結合モジュールに仕上げた。また、このモジュールを光源とする光ファイバーベースの干渉計を組み、干渉スペクトルからサンプル内の断層像を得るSpectral-domain (SD) 方式のOCTセットアップを自ら立ち上げた。立ち上げたSD-OCTシステムを用いて、カバーガラスなどの薄膜テストサンプルのOCT画像を取得し、本光源のOCT光源としての実用性を示すことに成功した[JJAP vol.54, 04DG07(2015)]。これらの成果により、提案光源の実用性が実証され、当初計画通りに提案光源開発が進捗していることが示された。また現在、上記OCTシステムを用いて、植物などの生体サンプルの断層画像取得を進めており、初期的なデータが得られている。今後は、この実験を進めることで、医療用OCT光源としての実用性を検証し、提案光源の優位性を示していく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
研究実績の概要で述べた通り、平成25年度までに多波長QDを含む電流注入型光源デバイスの試作は完了しており、平成26年度はその光源デバイスを、OCT光源として利用できることを示した。QDベース光源デバイスを光ファイバーと結合したモジュールに仕上げ、自ら立ち上げたSD-OCTシステムに導入し、さらにテストサンプルのOCT画像取得まで達成している。テストサンプルの画像取得データから、提案光源の実用性を示す結果が得られており、本研究目的達成のための計画が順調に推移しているといえる。また、当初計画では、多波長QD光源のOCTシステム導入および性能評価は、平成26年度終わりから平成27年度に予定しており、現在この計画を前倒しで進めていることから、当該自己点検評価をするに至った。
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度までの成果を受け、平成27年度も当初計画どおり、提案光源の実用化に向けたプロセスを推進していく。基本方針として、本提案光源を医療用OCT光源に向けた実用的なデバイスとするために必要な改善点を検証すべく、現在取り組んでいる生体サンプルのOCT画像データ取得を進める。その結果から、本提案光源の可能性や優位性などを実証していく予定である。
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