研究課題
医療用断層イメージング技術である光コヒーレンストモグラフィー(OCT)の高分解能、低ノイズ化に寄与する光源開発を目的とし、半導体ナノ結晶材料である自己組織化InAs量子ドット(QD)を用いて近赤外広帯域光源の開発を行った。GaAs基板上に自己組織的に成長するInAs-QDは、近赤外波長領域(1.2~1.3 um)においてサイズ分布により広帯域な発光を示すことが知られる。我々はこのInAs-QD群からの広帯域な発光中心波長を制御する技術を開発してきており、この技術を活用して、複数の中心波長を有するQD群を融合し、生体透過性の高い1~1.3 um帯での超広帯域な電流注入型光源デバイス(SLD光源)の開発に成功した。平成27年度は、計画最終年度にあたり、InAs-QDベースSLD光源(QD-SLD)のデバイス設計改良による更なる高帯域化と、OCT導入による分解能向上の実証に成功した[J. Appl. Phys. 119, 083107 (2016)]。具体的には、QD-SLDに対し分割電極を導入することでQDの高次準位間発光を誘起してさらなる広帯域化を実現し、利得特性評価によって160nm以上の利得帯域を確認した。このQD-SLDを、我々が自ら立ち上げたSpectral-domain (SD) 方式のOCTに導入し、テストサンプルのOCT画像取得および光軸分解能評価を行った結果、分解能4um以下が得られ、平成26年度までに得られた分解能(約8um)をさらに2倍近く向上させることに成功した。これらの成果により、当初計画通りに多波長QDを用いた超広帯域光源の開発に成功し、この光源をOCTに導入することで既存光源よりも高分解能かつ低ノイズな断層画像取得が可能であることを実証するに至った。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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