本研究課題では、申請者がこれまでに開発してきた、液中で生体試料を分子分解能で観察できる周波数変調検出方式の原子間力顕微鏡(FM-AFM)を用いた3次元フォースマップ法により、生体試料表面における電気二重層力および水和力を分離して測定し、生体試料表面の電荷密度と水和構造のそれぞれの3次元分布を比較することで、これらの相関を明らかにしていくことを目的としている。また、脂質二重膜、自己組織化単分子膜、タンパク質やDNAなどの生体試料表面の固液界面物性計測を実際に行い、官能基分布や塩基配列の識別を試みる。 本年度は、ポリリジンで被覆したマイカ基板上にDNA分子を固定し、KCl溶液中において3次元フォースマッピングを行った。この結果、DNA分子上では斥力、ポリリジン被覆マイカ基板領域上では引力がそれぞれ観察された。いずれも電気二重層力に起因するものであり、モデル計算により表面の電荷密度分布を定量的に求めることに成功した。
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