ナノスケール電子相ドメインの「相転移」、「動的移動」、「空間配置」のトータル制御方法を確立するために、本年度では、下記の実験を行った。 ■強相関酸化物ナノワイヤー素子のナノ物性計測 前年度に引き続き原子間力顕微鏡(AFM) を用いて、VO2薄膜のナノ電気伝導測定(C-AFM)を行った。5 nmの空間分解能で電気伝導を測定することに成功し、単結晶VO2薄膜の金属ドメインの最小単位が10nm程度であることを突き止めるとともに金属ドメインが空間整列していることを見出した。本結果は、巨大On/Off比性能を持つ10nm級の極微デバイスにおいても動作し、多値機能を持つデバイス展開が出来ることを示唆する。今後のBeyond-CMOSに資する酸化物エレクトロニクス展開に繋がる結果である。 ■サイドゲート型ナノワイヤー電界効果トランジスタ(FET)動作 前年度に引き続き、サイドゲート型VO2ナノワイヤーFET において、静電効果によるVO2ナノワイヤーチャネルの10%程度の抵抗スイッチングに成功した。また、単結晶のナノワイヤーで幅を減少させるとOn/Off比性能が向上することが分かった。ゲート材料と界面制御を適切に施すことによって「相転移」を制御するトランジスタ展開へと繋がる重要な結果である。
|