研究課題/領域番号 |
25286061
|
研究種目 |
基盤研究(B)
|
研究機関 | 独立行政法人日本原子力研究開発機構 |
研究代表者 |
朝岡 秀人 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 原子力科学研究部門 量子ビーム応用研究センター, 研究主幹 (40370340)
|
研究分担者 |
山田 洋一 筑波大学, 数理物質科学研究科(系), 講師 (20435598)
田口 富嗣 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 原子力科学研究部門 量子ビーム応用研究センター, 研究主幹 (50354832)
|
研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
|
キーワード | 結晶成長 / 表面・界面物性 / MBE、エピタキシャル / 自己組織化 |
研究概要 |
Si基板上に構築されてきた半導体デバイスは、今や物理的限界に直面しており、次世代ナノテクノロジーを担う低次元系量子構造を実現する自己組織化技術が求められている。しかし、この技術をもとにデバイスを実現するためにはナノ構造の形成位置・サイズ・形状の揺らぎを、高精度に制御する必要がある。表面に存在するストレスは成長原子の拡散、吸着過程のカイネティクスを大きく変化させるとともに、デバイス特性を決定するため、表面ストレスの制御がナノ構造の制御のために有力な手段となる。我々はSi(111)再構成構造に内在する等方ストレスを実験的に捉えることに成功し、ナノ構造とストレスとの密接な関係を見出した。このストレス計測技術を発展させ、ストレス計測による成長カイネティクスを解明すると共に、ストレスを制御し、新奇ナノ構造を創製する。これらの知見に基づき、新規量子デバイス実現に向けた設計指針を提案することを目的とする。 25年度においては、サーファクタントをもちいたヘテロエピタキシャル成長下の表面ストレスと表面構造との関連性を評価した。Si基板上のGe成長は、サーファクタントが1原子層吸着し表面状態が変化するだけで、成長形態がナノドットから、2次元レイヤーに変化する。我々は反射高速電子回折による表面構造と、表面ストレスのその場観察を試みた。その結果、サーファクタントとして用いたBi終端構造のストレス緩和を見出すとともに、このBi を最表面に保ちながらGeが1原子層ごとに圧縮、緩和を繰り返し、最終的にストレス緩和された2次元レイヤーが成長する過程を捉えることに成功した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画通り、ストレス測定装置の整備として、温度変化に伴う基板表面でのビーム反射角の変動に対して追尾を可能にし、リアルタイムストレス計測法を実現した。分子線エピタキシー装置(MBE)での蒸着環境を整備し、サーファクタントを用いたSi基板上のGe成長過程における、ストレス緩和過程を捉えるなど、表面ストレスと表面構造・ヘテロ界面構造との関連を評価した。
|
今後の研究の推進方策 |
Si (110)再構成構造の異方ストレスの2軸計測技術の確立し、吸着・脱離過程の成長カイネティクスの解析を試みる。
|
次年度の研究費の使用計画 |
表面処理法の簡易化、水素クラッキングセルの自作など実験の効率化を行い、次年度のストレス操作機構の設置に備えたため。 前年度未使用額とあわせて、ストレス操作機構設置のための真空装置の改造を行い、ストレス操作機構を開発する。
|