研究課題/領域番号 |
25286072
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研究機関 | 上智大学 |
研究代表者 |
江馬 一弘 上智大学, 理工学部, 教授 (40194021)
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研究分担者 |
江良 正直 佐賀大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (30191927)
大槻 東巳 上智大学, 理工学部, 教授 (50201976)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 無機有機ハイブリッド / 共振器ポラリトン / 量子井戸 |
研究実績の概要 |
巨大な励起子束縛エネルギーを持つ無機有機ハイブリッド物質を微小共振器に閉じ込め,これまでにない大きな結合を有する共振器ポラリトンを実現することが,本研究の目的である.2014年度は,2013年度に引き続き,LB膜によるマイクロキャビティの作製を目指していたが,同じ試料のスピンコート膜でマイクロキャビティが実現することが判明したため,スピンコート膜での実験に方針を転換しつつある.また,太陽電池応用への研究にも取り組み,励起子物性と太陽電池特性との関係についての理解を深めている.業績としては,国際会議・国内会議に多くの発表を行い,原著論文もすでに掲載が確定したものが複数ある.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2013~2014年度はLB膜によるマイクロキャビティの作製を目指していたが,高品質な試料の作製が難しく,マイクロキャビティの完成には至っていない.ただ,同じ試料のスピンコート膜でマイクロキャビティが実現することが判明したため,最終年度は飛躍的に研究が進展するものと思われる.
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今後の研究の推進方策 |
2015年度は新たに連携研究者として高田氏(産総研)を加え,スピンコート膜によるマイクロキャビティの特性の研究も行う.また,平行して,これまで進めてきたLB膜によるマイクロキャビティの作製と強結合の確認も行う.具体的な研究計画は以下となる. 1.スピンコート膜によるマイクロキャビティの光学特性:すでに強結合状態が確認されたマイクロキャビティにおいて,この材料系の特徴がどのように現れるかを詳細に検討する.強結合によって,一重項状態が三重項状態より低いエネルギーに来る条件を見いだし,その実現を目指す.また,励起子分子の影響なども詳細に検討し,ポラリトンレーザーの実現につなげる. 2.LB膜試料によるマイクロキャビティの実現:これまでに屈折率測定が完了し,キャビティの設計が行える段階に来ている.実際にキャビティ構造を実現させ,強結合状態の確認を行い,スピンコート膜による試料との比較を行う. 3.太陽電池材料としての特性評価:マイクロキャビティとは直接関係ないが,この材料系が太陽電池材料として有望であることが判明し,2年くらい前から世界中で研究が活発化している.本研究でも,励起子の特性を調べているので,励起子物性の観点から太陽電池材料としての特性の評価を行っていく.量子井戸材料だけでなく,太陽電池としの効率が最も高い3次元材料を中心に行う予定である.
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次年度使用額が生じた理由 |
2014年度の研究内容の欄でも触れたように,LB膜での共振器作製に時間がかかり,2014年度に予定していた共振器効果の光学測定への展開ができなかった.そのため,共振器用の光学系の構築に準備していた予算が,そのまま次年度繰越予算となった.
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次年度使用額の使用計画 |
今年度は,新たにスピンコート膜での測定に取りかかるため,半年程度の遅れてで光学測定を開始する予定である.年度の前半に光学系の構築を行うため,昨年度からの繰り越し予算を使用する予定である.
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