研究課題
本研究の目的は、宇宙赤外線背景放射(CIRB、サーブ)の全天観測という新たな研究領域を切り拓くべく、超高感度・広帯域・大規模アレイ性能を兼ね備えたテラヘルツ波検出器(レシーバー)を創成することにある。具体的には、従来の金属系超伝導材料に比べて高い転移温度をもつ窒化物系超伝導材料を導入することで、新たな力学インダクタンス検出器(MKID)アレイを開発し、同時読出し回路を構築して冷却から計測制御に至る全自動化を目指した。最終年度にあたる3年目は、2次元アレイの本作製および性能評価とともに、新たな超伝導材料の開拓を行った。まず作製に関しては、前年度までに最適化した成膜条件と加工条件をもとに、TaNやNbN薄膜を用いたMKIDアレイを作製した。具体的には、5×5画素の2次元アレイを10mm角の単結晶基板に配置し、山形大学の超伝導素子作製用プロセスライン(露光・現像装置やエッチング装置など)を駆使して進めた。また、豊橋技術科学大学では小型スパッタ装置を用いてMKID開発に適した新たな超伝導材料(NbTiN)を検討した。次に、MKIDアレイの冷却とマイクロ波共振特性の評価に関しては、低振動型3Heパルス管冷凍機を用いて温度0.5Kまで冷却した結果、雑音等価電力にして10 (-14) W/√Hz という良好な値を実験的に示した。さらに、PC制御のアレイ読出しソフトウェアを設計・開発し、これに3He冷凍機システムを組み合わせることで、冷却から計測に至る自動化を達成した。具体的には、LabVIEWを駆使してネットワークアナライザからの多画素測定系を構築し、かつフーリエ変換分光器の試料室に光学チョッパーを配置することで、液体窒素をテラヘルツ光源とする結像光学系を用いたリアルタイム25画素同時計測を実現した。今後の大規模アレイ化により、イメージング性能のさらなる向上が期待される。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 3件) 備考 (1件)
Superconductor Science and Technology
巻: 29 ページ: 035012_1-5
10.1088/0953-2048/29/3/035012
IEEE Transactions on Applied Superconductivity
巻: 25 ページ: 2401204_1-4
10.1109/TASC.2014.2367459
http://www.tut.ac.jp/university/faculty/ens/774.html