研究課題
進行波加速管中での速度集群法によりフェムト秒時間幅の極短電子ビームを発生と、その極短電子バンチを用いた高輝度コヒーレントTHz光発生は、本研究課題において最も重要な研究要素である。平成28年度は、永久磁石で構成されるアンジュレータに極短電子ビームを入射しテラヘルツ領域の狭帯域コヒーレント放射発生実験を実施した。電子ビームエネルギー:約31MeV、アンジュレータのピーク磁場強度:0.38T(K値:3.83)の条件で波長104μm(2.88THz)のコヒーレントアンジュレータ放射発生に成功した。コヒーレントアンジュレータ放射の波長スペクトル計測はマイケルソン干渉計を用いて行い、アンジュレータ周期数(25周期)の2倍のサイクル数に相当する50サイクルの干渉パターンが計測された。この50サイクルの干渉パターンは、アンジュレータ放射がコヒーレント放射であることを示している。また、アンジュレータギャップを変え磁場強度(K値)を変化させた測定において、アンジュレータ放射の波長が理論どおり変化することを確認した。K値の変化にともなうアンジュレータ放射の強度変化は、共鳴波長が短くなるにつれて減少し、電子ビームのバンチ形状因子の変化と同じ傾向を示した。この事もアンジュレータ放射がコヒーレント放射であることを明示している。ワイヤーグリッドを使った空間分布測定により、アンジュレータ放射の偏光特性測定も行なった。本研究では、コヒーレントアンジュレータ放射と極短電子ビームを逆コンプトン散乱させ軟X線を発生するまでには至らなかったが、本研究において最も重要かつ困難だと考えられていたコヒーレント放射発生に成功したことは大きな成果であり、本研究の最終目的である偏極X線発生に見通しをつけたと言える。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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Energy Procedia
巻: 89 ページ: 346-352
10.1016/j.egypro.2016.05.045