研究課題/領域番号 |
25286085
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
奥田 浩司 京都大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (50214060)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 軟X線小角散乱法 / AlMgSi合金 / Al-Mg-X合金 |
研究実績の概要 |
本年度はAl吸収端における2次元検出装置系の立ち上げをおこなった。軟X線領域におけるエリア検出器としては直接型のCCDが通常用いられているが、AlのK吸収端ではエネルギーが中途半端に高いため、蛍光変換、直接型ともに効率またはダイナミックレンジの問題が存在する。本年度Al吸収端での感度を持つ蛍光体の薄膜をTaperedOpticsに塗布した専用の間接型CCD測定装置を導入(本年度にOptics側)、CCDに直接直付けする試料ならびにビームスリットなどの光学系チャンバーシステムを作成、放射光施設に持ち込み、装置立ち上げ試験をおこない、システムとしての動作確認をおこなった。 ビームラインの測定時間配分の問題で新たに作成した測定システムの立ち上げ確認のみが終了した段階である。 実際の進行状況としてはAl-K吸収端エネルギーでのビームを整形、本年度作成したチャンバー内の小角散乱用ガードスリットと試料部分に位置調整してビームストップ位置に位置調整し、試料系の操作やスリット系の調整が可能なところまでのシステム確認が終了した。(測定時間不足の原因と27年度の対応策については別項参照) 測定時間の問題については従来の検出器による測定では硬X線領域の小角散乱では検出、定量化が不可能であったAlMgSiの比較的初期について、PFに新たに導入された大画素半導体検出器の利用によってMg:Siが1:1からわずかにでもずれている領域では本年度の測定により、定量化が可能であるという予備的な結果を新たに得ることができた。この内容についてはTMSで発表するとともに、従来の論文報告例とは析出キネティクス(特に析出量)の変化が異なっている場合がある可能性が示されたため、今年度立ち上げの終了した軟X線システムの標準試料評価が終了次第測定を開始するため、試料調整を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本課題の中心的な実験は放射光の軟X線光源の利用にかかっている。放射光施設の課題申請が採択されたビームラインが本年度の前期、ビームライン改修にともなうトラブルのために測定遂行不能となってしまった。実験装置はビームラインにあわせて設計する必要があるため、課題が採択され、そこにあわせて設計した装置を急に別施設用に転用することは難しいため、まずターゲット合金系であるAlMgSi系合金の硬X線による高ダイナミックレンジ小角測定を別ビームラインで進め、軟X線測定で特徴的に成果が出せる条件についてのより詳細な検討を行った。後期については測定可能となったものの、時間が不足したために軟X線測定に関して計画通りの測定が行えなかった。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は本年度に起こった問題点を踏まえ、平行して別施設でも測定が可能なように装置の一部を改造する予定である。 これととともに、別施設のビームライン担当者との打ち合わせをすでに開始し、具体的な測定申請の準備を開始している。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度のCCD接続真空チャンバーに後期に設置予定のセンサー用ハーメチックシールの納期が製品改訂で必要な性能のものの納期が3ヶ月以上かかることが判明。とりあえず共同研究者からの借用で初回試験を行なった。
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次年度使用額の使用計画 |
上記の真空対応コネクタは改めて価格などの問い合わせ中であるが、27年度の初回実験には間に合うタイミングで発注できる予定である。(価格約8万円)
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