研究課題/領域番号 |
25286086
|
研究種目 |
基盤研究(B)
|
研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
富田 卓朗 徳島大学, ソシオテクノサイエンス研究部, 准教授 (90359547)
|
研究分担者 |
長谷川 登 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 量子ビーム応用研究部門, 研究職 (50360409)
錦野 将元 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 量子ビーム応用研究部門, 研究副主幹 (70370450)
河内 哲哉 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 量子ビーム応用研究部門, 研究主幹 (40343941)
末元 徹 東京大学, 物性研究所, 教授 (50134052)
大西 直文 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (20333859)
|
研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
キーワード | 軟X線レーザー / 顕微計測 / 時間分解測定 / フェムト秒レーザーアブレーション / 分子動力学解析 / シングルショット計測 |
研究概要 |
25年度では、フレネルゾーンプレートを用いた顕微光学系の構築をすすめた。まず、フレネルゾーンプレートを用いた顕微イメージング光学系と時間原点決定のためのタイミング計測システムを両立することのできる光学系の配置案を設計した。また、それに必要なビームスプリッターなどの光学部品の仕様も決定し、発注を行った。さらに、これらの光学系が入る専用チャンバーを設計し、26年度早期に発注可能な段階に来ている。26年度ではこれらの納品後、速やかに光学系の構築とデータ取得に取り掛かる予定である。 さらに、光学系やチャンバーの設計・製作と並行し、、既存の光学系を用いた種々の金属におけるアブレーションダイナミクスの観測を行った。具体的には、これまでの白金に加え、金やタングステンにおけるフェムト秒レーザーアブレーション過程の観測をおこない、これまで観測していなかった時間領域でも幾つかの新しい現象を見出すことに成功した。そのなかでも特に、レーザー照射後数百ピコ秒で観測された軟X線のニュートンリングはアブレーションに伴う膨張表面の詳細なプロファイルを与えるとともに、軟X線領域でのニュートンリングを観測した初めての例としても重要なものである。 また、数百ナノ秒の時間領域ではアブレーションに伴う膨張表面の拡大に伴って、膨張表面の影(シャドウグラフ)を観測することに成功した。このシャドウグラフから数百ナノ秒領域における膨張表面の形状を推定することが出来た。 さらに、これらの結果は分子動力学シミュレーションとの対応がとられ、数百ピコ秒程度で観測された被照射面の振動現象など、実験と計算とのよい一致が得られた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
実験データの取得は非常に順調に進んでおり、理論計算との対応も始まっている。そのため、残り2年間でアブレーションに関する知見の蓄積は十分にできるものと考えている。 一方で顕微計測システムの構築は鋭意行っているものの、発注が当初予定より遅れている。この点については、顕微計測用チャンバーの発注を2014年度6月期までに行うことで、研究計画に大きな影響は生じないと考えている。
|
今後の研究の推進方策 |
研究計画は概ね順調に進行しているので、現状の推進方策で概ね問題ないものと考えているが、顕微計測系の立ち上げがこれ以上遅れないように注意して研究を進める必要があると考えている。
|
次年度の研究費の使用計画 |
顕微計測用のチャンバーの発注が遅れたため次年度使用額が生じた。 これらのうちの大半(400万円程度)は26年度前期にチャンバーを購入するために使用し、残りは主にフレネルゾーンプレートの購入にあてる予定である。
|