研究課題
前年度に引き続き、パラメトリックX線(PXR)の特性を生かし、吸収端を跨いだ2色のX線ビームを用いた断層像の差分による元素分布取得の実験研究を実行した。今年度は回折強調イメージング(DEI)の実験セットアップを利用して特定元素の吸収端を跨いだ2色の交差ビームを形成し、それを用いて2色同時のコンピュータ断層撮像(CT)が可能であることの実証を試みた。具体的な実証実験として、チタン酸ストロンチウムを含んだポリエチレン片をエポキシ樹脂で固めたものを試料とし、Sr元素のK吸収端16.1keVに調節したPXRビームを用いた実験を行った。吸収端より低エネルギー側をDEIのアナライザーとして用いているSi(220)結晶によって反射し、直進する高エネルギー側のビームと交差するようにした。高性能のX線イメージ検出器を導入したことにより、交差点に設置した試料に対し、180枚以上の投影像を安定に取得する事ができた。交差ビームを用いて同時に得られた2種類の投影像を各々再構成し、得られたCT像の差分をとることにより、Sr元素のみの3次元分布を得ることに成功した。放射光を用いたイメージング分野では、K吸収端差分法(KES)と呼ばれている手法であるが、単色2色ビーム同時の撮像は海外の第3世代放射光施設において湾曲結晶を使った大掛かりな装置による例が最近報告された程度であり、世界的にも独自性があり新規性の高い成果であるといえる。また、コンパクトな単色X線原の開発研究という観点でも、他の方式のX線原に対する優位性を証明した成果ともいえる。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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