研究課題
本研究課題では、強相関電子系の巨大応答現象の背後に存在すると期待されている相分離・2相共存といったドメインの応答状態を、共鳴軟X線コヒーレント回折法により観測する手法の確立を目指している。H27年度までに、磁場を介さない情報の消去・書込ができ、高速・低消費電力・高密度な次世代記録素子や演算素子として期待されているトポロジカルな磁気構造であるスキルミオン格子を、共鳴軟X線散乱法により観測することに成功した。また、試料部でコヒーレントX線を切り出す方法を適用し、コヒーレントX線回折像が得られること、得られた回折像に位相回復アルゴリズムを適用することで実像が得られることを確認した。H28年度は、コヒーレントX線の利用のもう一つの可能性である、ビームライン上流でのコヒーレントX線の切り出しを試みた。結果、放射光施設(PF)において、10μmより小さくX線を切り出すことで、軟X線領域で良質なコヒーレントX線を切り出せることを明らかにした。さらに、得られたコヒーレントX線を用い、温度・磁場などの外場応答の観測を目指したが、試料とX線ビーム位置を必要とされる精度で制御することが難しく、コヒーレントX線回折像の温度・磁場などの外場応答を調べるにはH27年度までに開発した試料部でコヒーレントX線を切り出す方法が適していることを明らかにした。また、位相回復アルゴリズムによる解析をする上で、試料部でのX線の切り出すアパチャーの形状が重要であることを検証した。これらの結果をもとに、位相回復に適したアパチャーを利用したコヒーレントX線回折の測定を実施した。実像イメージングの実証として、複数の磁性元素で構成される磁性体の磁気状態を、磁性元素の吸収端を選択することで元素ごとの磁気状態を観測し、元素によらず同じ磁気状態となることを確認するとともに、磁気状態の温度依存性の観測に成功した。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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放射光
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