研究課題/領域番号 |
25286091
|
研究種目 |
基盤研究(B)
|
研究機関 | 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構 |
研究代表者 |
菅井 勲 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, その他部局等, ダイヤモンドフェロー (80150291)
|
研究分担者 |
高木 昭 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 加速器研究施設, 講師 (10100819)
別所 光太郎 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 放射線科学センター, 准教授 (10300675)
|
研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
|
キーワード | 炭素フォイル / ストリッパーフォイル / HBCフォイル / 大強度陽子加速器 |
研究概要 |
1)ボロンを炭素にドープしたHBCフォイルとそのフォイルに窒素を混合したHBCNフォイル作成とアーク放電による1000℃以上の高温度に対して高耐熱性を目的とした水冷傾斜型アーク放電装置の改造をした。2)300 ug/cm2以上の厚膜蒸着のため1パルスアークの放電時間を10秒以上にするとアークビームが水冷銅電極表面を這いながら銅電極とその支持金具の表面を溶かし銅成分等の不純物が蒸着膜に混入することが分かった。3) その不純物混入を防止するためにアーク源からのアークビームパス距離を長くすることを目的として直径30mm、長さ45mm形状の10%ボロン化黒鉛ロッドに幅8mm、深さ8mmの切り溝3カ所を設けた蒸発炭素ロッド用ソケットを作成した。このソケットを陰極と陽極の銅電極面に取り付けた。更にソケットと銅電極面を厚さ0.5mmのモリブデン板で覆いアーク周辺からの不純物混入を防ぐ処置をした。 4)炭素製造会社に特別製造委託したボロンドープ量として各3 %,10%,20% それに30%で作成した各種ボロン化黒鉛蒸発源ロッドを前述の水冷傾斜型アーク放電装置に取り付け窒素ガス混合無しのHBCと有りのHBNCフォイルの試作をした。この試験的製膜から窒素ガス混合によるHBNCフォイルの製作が可能であることを確認した。 5)上記の製法で作成した厚さ15±5μg/cm2の薄いHBCフォイルとHBNCフォイルの各炭素フォイル中のボロンと窒素量を調べるために京大(宇治)のエネルギー2MeVのHe2+イオンビームを用いRBS法により組成分析を行った。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
高再現性HBCフォイル作成のため高耐熱性水冷式傾斜型アーク放電アーク蒸発源の改造を行った。本装置を用いて厚さ300 ug/cm2のHBC フォイルと窒素ガス混入によるHBNCフォイルの蒸着試験を行った。長時間の高温度環境下でも蒸発アーク源等に大きなトラブルはなかった。この結果から、窒素ガス混入量によるHBNC膜の製作並びにHBNCフォイルの寿命に影響する各種パラメターによる試験研究が可能であることが分かった。
|
今後の研究の推進方策 |
異なる濃度の窒素ガス混合法を用いて、HBCフォイル中に窒素を混合したHBCNフォイルを作成する。その製膜プロセスに於けるピンホール発現と高温加熱によるメカニカルな変形と膜厚減少を調べる。この研究を通して2000Kの高温度環境下でも膜厚変形と膜厚減少が少ないHBNCフォイルの実現を図る。
|
次年度の研究費の使用計画 |
HBCフォイルは高純度炭素材にボロン化黒鉛を混合した原材料から作られるがボロン化黒鉛蒸発源ロッドを製造できる会社は国内では(株)東洋炭素のみである。更なる高品質蒸発源ロッドの製作とその入手するにはボロンカーバイドの(B4C)の混合量と焼結温度による影響を調べる必要があり、少なくとも6カ月の試験期間が必要でありその蒸発源ロッドを得るために助成金を繰り越した。 平成25年度の繰越助成金は平成26年度に試作開発した高品質ボロン化黒鉛蒸発源ロッド(重量パーセントとしてボロン濃度10-20%,炭素80%の混合割合)を平成26年度の購入資金と合わせて使用する。ボロン化黒鉛蒸発源ロッドのサイズはφ10mm x 長さ70 mmで50本購入する。
|