• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2014 年度 実績報告書

窒素混合による長寿命HBCフォイルの高温損傷激減化の研究

研究課題

研究課題/領域番号 25286091
研究機関大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構

研究代表者

菅井 勲  大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, その他部局等, ダイヤモンドフェロー (80150291)

研究分担者 高木 昭  大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 加速器研究施設, 講師 (10100819)
別所 光太郎  大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 放射線科学センター, 准教授 (10300675)
研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2017-03-31
キーワード炭素フォイル / HBC フォイル / 負水素イオン加速器 / 大強度陽子加速器 / バッキングフォイル / アーク蒸発源
研究実績の概要

平成26年度はHBCフォイルの製膜実験とボロン化黒鉛のボロンドープ量の違いによるHBCフォイルのピンホール発生の関係を見出すための組成分析を行った。
1)J-PARC の大強度陽子加速器の陽子イオンは負水素イオンをHBCフォイルを通過することによりH-→Ho→H+ 2個の電子を剥ぎ取り陽子イオンが生成される。このプロセスはフォイルの厚さに強く依存する。この電荷交換過程を精密測定をするために厚さの異なるHBCフォイルの開発製膜を行った。厚さは10ug/cm2-350ug/cm2の広範囲で大きさは40mm x120mmの大面積である。厚さによって特に200ug/cm2以上の厚さではピンホールが発生するが2枚重ねによりピンホールによる影響を緩和した。大面積で極めて薄い10ug/cm2(500Å)の自己支持膜の製作は不可能なのでガラス基板上に昨年度設計開発した傾斜型水冷式アーク放電蒸着装置を用いて各種厚さのHBCフォイルを製膜した。蒸着した膜を蒸留水中で剥離し52mm x 55 mmの空間をを持つSiCファイバーを取り付けた特殊フォーク型の厚0.2 mmのステンレススチール製ターゲット枠に取り付けた。各種フォイルの厚さをα線厚み計で測定したHBCフォイルはJ-PARCのエネルギー400MeVの負イオンビームを用いて厚さによる荷電分布測測定に使用された。ボロン化黒鉛のボロン濃度(3,10,20,30%)を変えた厚さ15±5ug/cm2のHBCフォイルを作成し、京都大学のエネルギー2.0 MeV,He2+の加速器を用いて各種フォイルの元素分析を行った。その結果、濃度3%のHBCフォイルではボロン元素のスペクトルが検出できなかったが他の濃度で製膜したフォイルは濃度に相応する強さのボロンピークのスペクトルが検出された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

平成25年の初年度はHBCフォイル作成のための水冷式傾斜型アーク放電蒸発源を設計・製作しその放電蒸発源を用いて各種厚さの炭素のみとHBCフォイルの製膜試験を行った。
平成26年度は前年度に製作したアーク放電型蒸発源を用いて極端に薄いものから(10ug/cm2)極端に厚い(>200ug/cm2)HBCフォイルの制作を行い、これらの蒸発元素の違いと各種厚さの製膜実験から、製作した傾斜型放電アーク蒸発源の性能は5時間以上2300℃の高温環境下でも劣化すことはないことが確認できた。
この製膜実験から蒸着膜のピンホール発生は大気に取り出したときに大氣の吸湿により起こり、薄い場合(~100ug/cm2以下)は少ないが200ug/cm2以上の厚い製膜の場合は膜全体にわたり無視できないピンホールが発生することが分かった。このフォイルの吸湿の問題はかなり複雑であり解明とその抑制にはかなりの時間をかけた実験が必要であり重要な問題なので時間をかけて取り組みたい。
フォイルの製膜はその歩留まりと再現性がが極めて悪いので予定通りに進んでいないが3年目の平成27年度は研究テーマである高温環境下でのフォイルの膜厚減少を緩和する実験に取り組む。

今後の研究の推進方策

加速器荷電変換効率にとってフォイルのピンホールは膜厚減少とともに加速器の運転効率を左右する重要な問題である。ピンホール発生は基板表面の清掃度に関係するがこれまでの実験結果からHBCフォイルの場合大気の吸湿による蒸着膜の膨張によって起こることが分かってきた。
ピンホールは大気の湿度と温度にも関係するがフォイルの炭素粒子の大きさと膜厚にも敏感であることが分かってきた。この問題は複雑であり解明とその抑制法を見出すにはにはかなりの実験時間を要する。
上記の問題解決の第1歩としてHBCフォイルの厚さによるピンホールの度合いを光透化法による目視法で大雑把に観察する。次にアルファ線厚み計法を用いてそのフォイルの吸収勾配の違いからピンホールの大きさを見出す。

次年度使用額が生じた理由

放射線損傷によるフォイルの変形とピンホールの軽減化の研究を進める中でピンホール発生はフォイル膜の粒径サイズに敏感であることが分かってきた。HBCフォイルは数百ナノメートルの大きな粒子サイズから成り立っているので、数ナノメートルの微細なサイズの炭素膜を作成しサイズの違いによるピンホール発生の比較をすることは重要と判断した。この研究を至急するため数ナノメートルの粒径サイズの炭素膜を作成するため抵抗加熱法による(2500℃以上の高温度)蒸着源を作成することが必要となりその経費を今年度の経費と合わせて製作するために繰り越した。

次年度使用額の使用計画

炭素ロッド直接抵抗加熱蒸発源を作成する。これにより数百ナノメートル粒径のHBCフォイルとナノメートル粒径の炭素フォイルの粒径サイズの違いによるピンホール発生の違いを光透過による目視法と電子顕微鏡(SEM)法により見出す。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2014

すべて 学会発表 (2件)

  • [学会発表] Fabrication of Isotopic and Natural Carbon Foils by Thermal Cracking Method and some Issues2014

    • 著者名/発表者名
      菅井 勲
    • 学会等名
      第27回原子核ターゲット開発世界会議
    • 発表場所
      科学未来館
    • 年月日
      2014-08-31 – 2014-09-05
  • [学会発表] HBC ストリッパーフォイルの開発2014

    • 著者名/発表者名
      菅井 勲
    • 学会等名
      第27回タンデム加速器及びその周辺技術の研究会
    • 発表場所
      京都大学宇治キャンパス
    • 年月日
      2014-07-04 – 2014-07-05

URL: 

公開日: 2016-06-01  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi