研究課題/領域番号 |
25286094
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 独立行政法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
豊川 弘之 独立行政法人産業技術総合研究所, 計測フロンティア研究部門, 研究グループ長 (80357582)
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研究分担者 |
黒田 隆之助 独立行政法人産業技術総合研究所, 計測フロンティア研究部門, 主任研究員 (70350428)
平 義隆 独立行政法人産業技術総合研究所, 計測フロンティア研究部門, 研究員 (60635803)
田中 真人 独立行政法人産業技術総合研究所, 計測フロンティア研究部門, 主任研究員 (30386643)
三浦 永祐 独立行政法人産業技術総合研究所, エネルギー技術研究部門, 上級主任研究員 (10358070)
鶴嶋 英夫 筑波大学, 医学医療系, 准教授 (50315470)
山田 家和勝 独立行政法人産業技術総合研究所, 計測フロンティア研究部門, 客員研究員 (70358258)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | レーザー / 電子加速器 / X線 / ステント / 可視化 |
研究概要 |
本研究は、小型電子リニアックと高出力レーザーとを駆使したレーザーコンプトン散乱X線発生技術の高度化によって、可視不能ステントのような体内に注入した超微細構造材料をリアルタイムに可視化する技術を開発することを目的としている。本年度は、衝突用チタンサファイアレーザーの発振器が故障したため修理を行った。修理完了後、フェムト秒レーザーパルスの発生に成功し、大口径の波長変換結晶により2倍高調波光の確認に成功した。本研究におけるレーザーと電子ビームを衝突させるための真空チェンバーには、蛍光板を用いたビーム位置モニターの導入機構とともに、レーザー光学素子を真空容器内に配置する必要がある。既存チェンバーでは開口部が小さく、大径の光学素子を挿入することが困難であったため、上部に開閉機構を有し、内部に光学素子設置用のタップ機構のある真空チェンバーを設計・製作した。上記チェンバー設置後、レーザーコンプトン散乱X線生成・イメージング実験では、約35 MeVの電子ビームを用いて約28 keVのX線を生成した。光源から約1.8 m地点にステント及び塞栓材であるコイルを、約4.0 mの地点に検出器(イメージングプレート)を設置し、拡大系(2倍程度)によるイメージングを行った結果、十分な可視化に成功したが、検出器の分解能の限界によりコイルの微細構造までの可視化には至らなかった。現在の実験室レイアウトでは、2倍以上の拡大系は困難であり、今後は、より高分解能のリアルタイムカメラ等(HARPカメラ等)を用いる必要があることが分かった。サンプルとしては、動脈瘤を模擬した疑似血管に生理食塩水を導入した状態での、ステント、及びコイルの可視化を行っていく。同時に、衝突用2倍波レーザーを用いた約80 keVのX線生成を実施し、塞栓材(コイル)等のK吸収端を利用した高コントラストイメージング等を実現していく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
レーザー発振器の故障は予定外であったが、無事に原状復帰を果たしフェムト秒レーザーパルスの発生に成功し、予定通り2 倍高調波光の確認に成功した。レーザーと電子ビームの正確な位置合わせと光学素子を配置する機構を備えた真空容器を導入したことから、次年度以降の研究を、より効率よく実施できるようになった。
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今後の研究の推進方策 |
2倍高調波光と電子ビームの衝突を検証する。電子ビームと衝突させる手順は、基本波レーザーの場合と同様である。レーザーコンプトン散乱X線のエネルギーを材料のK吸収端付近に調整した後、模擬血管やステント等のX線イメージング実験を行い、空間分解能やコントラスト分解能を調べる。また目標とするX線強度を達成するレーザーシステムについて引き続き検討する。
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次年度の研究費の使用計画 |
マルチパルス紫外レーザー発生方法としてOPAを用いる予定であったが、発振器の故障と修理に時間を要したため、急遽既存のチタンサファイアレーザーと波長変換結晶を用いることとした。そのため次年度使用額が発生した。 当該研究費はマルチパルス紫外レーザーを安定に発生させるために必要なレーザー増幅結晶および増幅器等の導入に使用する予定である。
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