研究実績の概要 |
多重ゼータ関数に関しては、小野塚友一氏、若林功氏との共同研究で、任意の整数点における Laurent 展開を求めるアルゴリズムを確立した。これによってその点が不確定特異点の場合でも、その周辺での挙動が詳しく解析できることになった。値分布論においては、梅垣由美子氏との共同研究で、合同部分群の保型 L 関数に付随する二つの symmetric power L 関数の対数の差を考えると、そのレベルに関するある種の平均が密度関数を含む積分で表示でき、しかもその密度関数は明示的に求められることを証明した。これは Bohr, Jessen, Wintner, 伊原らによる M 関数の理論の類似を、保型 L 関数の枠組みで初めて発見したものである。普遍性理論においては J. Steuding, A. Laurincikas, R. Kacinskaite 氏らと共同研究を進め、保型 L 関数の離散普遍性や、より一般的な状況設定での混合普遍性などの証明に成功した。
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