研究概要 |
Conical affine symplectic variety X に対して次の2つの結果を証明した。 1) X の非特異部分の代数的基本群は有限である. 研究代表者は2013年に出版された論文 "Equivalence of symplectic singularities" において一連の問題群を提示した。そのうちの一つが、X の非特異部分の基本群は有限であろうという予想であった。今回の結果は、その部分的解決を与えている。 2)Xのポアソン変形と、X のクレパント特異点解消の双有理幾何の関係を考察した: X のクレパント特異点解消 Y の第2コホモロジー空間 H^2(Y, C) は、Y の普遍ポアソン変形の底空間とみなせる。とくに H^2(Y,C) の各点には、Y を変形して得られるポアソン多様体が対応する。H^2(Y, C)の中でアファインでないポアソン多様体をパラメーター付けしているローカスを discriminant locus とよび D であらわす。D は有理数体上定義された有限個の超平面の和集合になる。とくにこれらの超平面は、H^2(Y,R) の中にchamber構造を定義する。一方、H^2(Y,R)の中には、X の相異なるクレパント特異点解消の ample cone から決まる chamber 構造が存在する。これら2つの chamber 構造が完全に一致するというのが主結果である。この結果は、ここ数年、研究代表者が研究してきた ポアソン変形の理論を、双有理幾何に応用したものである。
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