研究課題/領域番号 |
25287009
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
加藤 毅 京都大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (20273427)
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研究分担者 |
木田 良才 東京大学, 数理(科)学研究科(研究院), 准教授 (90451517)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | ゲージ理論 / 非コンパクト空間上の解析 / 非可換幾何学 / モノポール写像 |
研究実績の概要 |
コンパクト4次元多様体の被覆空間上でモノポール写像の構成を行うことが目的である。assembly写像とよばれる指数写像はK群の間の写像として与えられ、指数に関する高次の情報を含む。それをモジュライ空間の接空間上のファミリーの写像として見なすことで、モジュライ空間自身を用いた非線形assembply写像の構成は、形式的には既に与えられているものの、解析的な取り扱いにはまだ多くの困難が残っている。線形化写像がフレドホルムではないことが大きな理由であるが、正曲率などの条件下ではその構成を与えることができていた。昨年度はより一般の4次元多様体のクラスに対して、モノポール写像の構成を行い、高次の写像度をK群の間の写像として与えることを行った。 昨年度の研究において、外微分作用素の像が閉である場合に、被覆空間上のモノポール写像が、局所強プロパーであることを示した。特に線形化写像が同型である場合には、モノポール写像に対する高次の写像度がK群の間の写像として与えられ、さらにその次数がL^2ベッチ数により計算されることを示した。その応用としてaspherical10/8不等式が一般の4次元分類多様体に対して成立するという予想を導くことができた。基本的にはその予想は、古田によるモノポール写像を用いた10/8予想の証明を、被覆空間上で展開できれば示されることが分かっており、その構成は今後行って行く予定である。また一般型の極小曲面に対してはaspherical10/8不等式が成立することを示した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
以下の進展があった:(1) 外微分作用素の像が閉である場合に、被覆空間上のモノポール写像が、局所強プロパーであることを示した。(2) その応用としてaspherical10/8不等式が一般の4次元分類多様体に対して成立するという予想を導くことができた。 (3) 一般型の極小曲面に対してはaspherical10/8不等式が成立することを示した。
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今後の研究の推進方策 |
今後は以下の内容に関する研究がテーマと成る:(1) 外微分作用素の像が閉とは限らない場合に、被覆空間上のモノポール写像を用いて、高次の写像度をK群の間の写像として与え、さらにその次数がL^2ベッチ数により計算されることを示す。特に基本群が自由アーベル群の場合は基本的な場合である。(2) aspherical10/8不等式をより一般の4次元分類多様体に対して成立することを示す。 特に(1)については、モノポール写像をある種の漸近的なプロパー性をもつものに変形して行く必要があり、それにはasymptotic morphismとよばれる、作用素環の間の準同型より広い対象を扱うことのできる代数トポロジーを用いる。
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次年度使用額が生じた理由 |
H28年度に幾何学関連研究者との国内研究打ち合わせのための旅費に使う予定である。
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次年度使用額の使用計画 |
10月に東京においてゲージ理論関連の研究打ち合わせを行う予定でおり、そのための旅費として使う予定である。
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