研究課題/領域番号 |
25287012
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
小磯 深幸 九州大学, マス・フォア・インダストリ研究所, 教授 (10178189)
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研究分担者 |
庄田 敏宏 佐賀大学, 文化教育学部, 准教授 (10432957)
川上 裕 金沢大学, 数物科学系, 准教授 (60532356)
小野寺 有紹 九州大学, マス・フォア・インダストリ研究所, 助教 (70614999)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 国際研究者交流(米国:ブラジル) / 極小曲面 / 平均曲率一定曲面 / 変分問題 / 分岐理論 |
研究実績の概要 |
1. H26年度に学術雑誌に投稿した論文「On bifurcation and local rigidity of triply periodic minimal surfaces in R3」(庄田敏宏氏、Paolo Piccione氏との共著)の査読結果が送られてきたので、それを参考に研究成果を吟味して論文を修正し、再投稿した。 2. 3次元ユークリッド空間内の平均曲率一定曲面(以下、CMC曲面と記す)に対する分岐理論及び分岐枝上のCMC曲面の安定性の判定法を得た(B. Palmer氏、P. Piccione氏との共同研究)。詳しくは、以下の通りである。 (1)同じ境界を持つコンパクトCMC曲面の、平均曲率Hまたは囲む体積Vをパラメータとする一助変数族が与えられた時、CMC曲面の分岐が起こるための十分条件を、面積汎関数の第2変分に付随する固有値問題の固有値及び固有空間についての情報及び、CMC曲面族のパラメータ依存性についての情報を用いることにより得た。(2) (1)で得た分岐は、ピッチフォーク分岐またはトランスクリティカル分岐となることを証明した。このことにより、分岐枝上のCMC曲面が安定か否かの判定条件が得られた。(3) (1),(2)を応用することにより、それまで安定か否かが知られていなかったCMC曲面の具体例の安定性を判定することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
「極小曲面、平均曲率一定曲面、非等方的平均曲率一定曲面などの、主として曲面に対する変分問題の解の大域的性質、安定性(エネルギー汎関数の極小値を与えるか否か)の判定とモース指数(不安定度)の評価、安定解の存在と一意性、解空間の構造、力学系について研究する。」という目的に鑑み、研究は順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
H27年度には、同じ境界を持つCMC曲面の一助変数族に対し、境界及びCMCという性質を保ちながら解が分岐するための条件、及び分岐枝上のCMC曲面の安定性の判定条件を得た。ここで得た安定性の判定条件は、分岐枝上の曲面が囲む体積を用いて与えられた。H28年度は、「分岐枝上の曲面の安定性の判定を元の曲面の一助変数族の情報のみから行うこと」を目指す。アイデアとしては、元のCMC曲面の一助変数族に対する分岐点における面積の第4変分の正負を用いることを考えている。この考え方は、有限次元空間上の極値問題については有効であることが知られているが、本研究のような無限次元空間上の変分問題については未知の領域である。本研究が成功すれば、安定性の判定が困難なCMC曲面の多くの例について、安定性を判定することが可能となることが期待できる。研究の進め方としては、H27年度に安定性を判定した具体例について解析することから始め、一般論の構築に進む。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究者の招聘に使用する予定であったが,当初予定しなかった課題の研究が進展したために27年度にはその研究を進めるために時間を使い,当初予定していた研究者の招聘は28年度に行うこととした.
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次年度使用額の使用計画 |
研究者の招聘に使用する.
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