研究実績の概要 |
本研究では、結び目や3次元多様体の量子不変量と、双曲体積との関係を明らかにした体積予想を軸として、さらにこれを一般化して量子不変量そのものと幾何構造の量子化との関係を調べてきた。本年度は、主として、Turaev-Viro 不変量と呼ばれる、3次元多様体の四面体分割と直接関係する量子不変量の体積予想に注目し、この不変量の幾何構造との関係を Qingtao-Chen との共同研究で調べてきた。その過程で、量子 6j 記号の漸近展開に関する性質を明らかにすることができ、また、twisted Reidemeister Torsion と呼ばれるものを四面体のデータから記述する手法を見出した。 一方で、基本群の量子化というのも考えるべきであるが、これについてもカンドルの量子化を考えることで表現の量子化への道が見えてきた。 また、これまで研究を進めてきた対数型量子不変量や、ハンドル体結び目の量子不変量についての研究に関する論文を発表することができた。 さらに、本研究の最終年度にあたり、量子不変量の体積予想や量子トポロジーに関する研究会 "Workshop on Volume Conjecture and Quantum Topology" を9月に開催し、国外から9名 Q. Chen, D. Gang, S. Garoufaridis, R. Kashaev, A. Kolpakov, D. Moussard, B. Patureau-Mirand, R. van ver Veen, D. Zagier, 国内から10名 K. Habiro, R. Inoue, H. Murakami, T. Ohtsuki, T. Takata, S. Tsuji, M. Yamazaki, Y. Yokota を講演者として招き、数論的な側面やクラスター代数との関連など広い視点からの研究の総括を行うことができた。
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