研究課題
4点以上の特異点を持つrigidなFuchs型方程式は,特異点の位置も変数とみなすと,多変数のKZ型超幾何微分方程式を満たす.多変数化したときの middle convolution と addition の作用について, 前年度に決定的な記述を得ていたが,その結果に基づいて特異集合への制限方程式の具体的計算アルゴリズムを確立し,それを数式処理上で実現した.これにより,KZ型多変数超幾何関数の接続係数の計算が一般的に可能になった.また局所モノドロミー行列の固有値に重複度があるため,常微分方程式の中では接続係数の定式化が困難であった多くの場合が,特異点の位置を動かして合流させたときの解の振る舞いで分離可能となることに注目し,接続公式の新たな定式化と共に,興味ある具体例のシリーズを数多く得た.このような枠組みで,いくつかの例が知られているだけで統一的理解ができていなかった不確定特異点を持つ多変数のKZ型超幾何関数の開折と合流について,versalな開折をKZ型方程式の枠組みで定式化し,そのmiddle convolutionや制限などの計算を数式処理上に実現した.これは不確定特異点の場合の従来とは異なる middle convolutionの実現となり,さらに積分表示などの一般的な取り扱いが可能になった.これは今後,rigidな多変数の不確定型特異点をもつ超幾何関数の理論が発展していく端緒となるものと期待できる.さらに,数式処理で作成したプログラムは公開して広く利用可能にするとともに,前年度に得ていたrigidな場合の半局所モノドロミー群を与える結果も論文にまとめた.
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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Formal and Analytic Solutions of Diff. Equations 2017, Springer Proceedings in Mathematics & Statistcs
巻: - ページ: 印刷中
Analytic, Algebraic and Geometric Aspects of Differential Equations, Trends in Mathematics, Birkhauser
巻: - ページ: 425-453
10.1007/978-3-319-52842-7_14
数理解析研究所講究録
巻: 2031 ページ: 124-158