研究課題/領域番号 |
25287025
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
田中 和永 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (20188288)
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研究分担者 |
小薗 英雄 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (00195728)
山田 義雄 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (20111825)
大谷 光春 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (30119656)
小澤 徹 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (70204196)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 変分問題 / 非線形楕円型方程式 / 特異摂動問題 |
研究実績の概要 |
非線形楕円型方程式に対する特異摂動問題を中心に研究を実施した. 昨年度までに非線形シュレディンガー方程式に対して開発した凝集解の構成法をさらに発展, 拡張することに成功した. 特に従来, 極限方程式の解構造に課していた条件 (正値解集合のコンパクト性に関するもの) をゆるめることができ, 応用はさらに広がることとなった. また従来とは異なる deformation 理論を展開することにも成功し, 証明をよりわかりやすく整理するともに, 他の方程式等への適用もより行いやすくなった. 昨年より目指しているポテンシャルの不安定特異点等における多重ピーク解の存在問題はいまだ成功していないが, 部分的結果は得られつつある. なお特異摂動問題に関しては磁場を伴うシュレディンガー方程式に対してポテンシャ ルウェル内に凝集する解の多重度を示すことに S. Cingolani 氏, L. Jeanjean 氏と共に成功している. この結果は昨年度得られた結果の磁場を含む形への拡張となっている. なお研究分担者小澤は非線形楕円型方程式と密接な関連をもつハーディの不等式の研究を行い最良の剰余項を見いだす等の成果をあげ, 連携研究者塩路は渡辺氏と共に双曲空間における Brezis-Nirenberg 問題の解の一意性を得ることに成功する等の成果を上げ, 倉田は磁場効果を持つ Gagliardo-Nirenberg 不等式の研究およびその Bose-Einstein 凝集問題への応用を行った. また足達は渡辺氏と共に準線形シュレディンガー方程式の基底解の漸近的な一意性を見いだし, 佐藤は Wang 氏と共に斥力, 引力の両者を伴う非線形シュレディンガー方程式の多重度を得た. また生駒は完全非線形楕円型方程式に対する可解性および Willmore 型トーラスの存在結果を Malchiodi 氏と共に得た.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ほぼ計画通りに特異摂動問題の研究は進展している. J. Byeon 氏と共に開発した変分的アプローチをさらに発展させることに成功し, 特に今年度は極限方程式の正値解に関する従来の仮定をゆるめること, また従来の方法とは異なった deformation 理論の構成に成功した. ポテンシャルの極大点等での極大点等での凝集解の構成をさらに多くの興味ある問題 (特に非線形方程式系, 非局所問題) が可能となりつつあり, 次年度でのさらなる発展が期待される.
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今後の研究の推進方策 |
特異摂動問題の研究を中心に進める. 特に多重ピーク解の存在問題, 非局所楕円型問題 (フラクショナルラプラシアンを伴う非線形問題等), 非線形楕円型方程式 (非線形シュレディンガー方程式系, Choquard 方程式系等) への応用を目指す. なお, 数理物理に現れる非線形楕円型方程式系の中には, 非局所項を導入することにより単独の非局所方程式に書き換えることができるものが多い. この点にも注目し, 多方面からのアプローチを試みる. また得られた解の安定性 (軌道安定性等) の研究も視野に入れる.
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次年度使用額が生じた理由 |
海外の研究者の招聘を計画したが, 先方の事情によりキャンセルされた場合があった. また本年度, 研究は理論的に当初の計画より順調に進み, 当初予定していたほど数値解析的な実験は行わなかった. そのため PC, ソフトウェアの購入は少なかった.
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次年度使用額の使用計画 |
最終年度である 28 年度においては, 研究分担者, 連携研究者を中心とする研究集会を開催する予定である. また S. Cingolani 氏を招聘し共同研究を行うことを計画している. また中国およびメキシコにおける国際研究集会への参加も予定しており, その際の旅費としても使用させて頂く予定である. また今年度は数値解析的手法により, 今までに得た解の数値実験および視覚化を行いたい. そのための PC, ソフトウェアの購入も行いたい.
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